Chrome OS延期の理由

 特に特別な理由があるのかと思ったが、ほぼ自分の見方とあまり変わらないようだ。下記の記事の中では「Chrome OS誕生への道のりの途中で何かが起きた。それはAndroidと呼ばれるものだ」としている。

Google Chrome OSの立ち上げ延期 その理由は? (ITmedia)
「Chrome OS」計画発表から1年半、登場はいつか?(CNET Jaoan 11.25)

 一言で言えば「タイミングを逸した」ということだろう。自分はこれを「狼少年」状態だとした。Appleのように新製品をあらかじめプロモーションしてから確実に出荷してブームを巻き起こすというのとは、どうやら違うようだ。オープンとクローズトの悪い方の違いかもしれない。


 もともと「AndroidChrome OSの違いは」という懸念は当初からされていた。そして将来的には統合されるのではないかという見方もあった。Chrome OSが見据えていたのは、クラウドと対Windowsであっただろう。Chrome OSは雲の上に向かい、Androidは手元のスマートフォンに向かうものだったはずだ。


 ところがiPadの登場からこの方向性が狂いだした。いやGoogle自身には計画の変更はなかったかもしれないが、周囲の情勢が急激に変わりだした。記事の言葉を言い直せば「Chrome OS誕生への道のりの途中で何かが起きた。それはタブレットPCと呼ばれるものだ」ということだろう。昨年までのネットブックブームは去り、タブレットPCへと向かっている。iPadがきっかけとなって、それを追撃するメーカーが続々とタブレットPCの出荷を目指し始めた。そのとき採用できるOSは、Googleの意向に関係なく、スマートフォンで実績のあるAndroidだけだったといってもよいだろう。Googleとしてはネットブック向けだけでなく、Chrome OSをタブレットPCにも使いたいところだった。ただPCメーカーとしては、まだ登場していない実績のないOSを採用するわけにはいかない。そして、方向性が違うはずだったAndroidChrome OSがタブレットPCの土俵ではバッティングすることになってしまった。それはAndroidが登場したからではなく(そもそもAndroidの方が登場は先なのだから)、iPadが登場したからである。


 最近はChrome OSを「キーボード搭載のデバイスを対象」とし、あえてネットブック向けと特定していないとうころも微妙である。登場の遅れがGoogleChrome OSの戦略の見直しを迫られたためではないかとも見られるが、方針転換は十分にありうる。近いところでは、あれほどアピールしていたGoogle Waveがあっさりと開発打ち切りとなった。Googleは見込みなしと判断すると打ち切りも早い。Chrome OSもAndroidのように早々と公開して、あとは市場に判断をまかせればよかったかもしれない。年明けまでは、Chrome OSが本当にリリースされるか動向を見守りたい。