地震、その時のネットは

 震災発生当初のネットのサービスの背景はどうだったか、やや落ち着きを取り戻してきた今だからこそ、徐々に語られてきている。TwitterUstreamは前面に出ていた感じだったが、やはりどのサービスも舞台裏は大変だったことがうかがわれる。

地震、その時mixiは「頑張っぺし」―集まる被災者の声..(ITmedia)
地震、その時Yahoo!は“もしも”に備えあり、チームワークで支えた23億6500万PV (4.6)
地震、その時Googleは「1秒でも惜しい」と怒涛の開発、海外にもバトンつないで(4.5)

 当初はリアルタイムの被害情報が、次第に対策のための安否情報や交通事情や物資流通の情報などが必要とされてきた。それにはバラバラに発生する情報を共通に集約するサービスが必要とされた。安否情報にはGoogle Person Finderがその典型的役割を果たした。


 そして被災地に近いほど、本当に必要な超ローカル情報にはSNSが役に立つことになる。テレビで得られる情報は、実は自分の身の回りには何の役にも立たない情報である。津波被災地の避難所では誰も原発を話題にしている人はいない、ということがそれを象徴している。


 ネットの情報はグローバルといわれるが、それは一面の見方に過ぎず、本当は毛細血管のように超ローカルのコミュニティの情報も柔軟に提供しうるものであり、それが必要だということを、この緊急時に明確になったともいえるだろう。


 インターネットの原型であるARPANETは、もともと核戦争に備えて、仮に都市が壊滅的被害を受けても情報は生き続けているようなタフなネットワークを目指したものであり、それがインターネットの基本理念の1つでもある。今回はまさにそれが必要とされた場面であり、それが試された事態でもあった。既存のサービスは、それなりの努力によってその役割を果たしたといえるだろう。しかし原発の安全対策の失敗、緊急時にはすぐに繋がらなくなる携帯電話を見るまでもなく、まだまだ大きなセキュリティも含めて、クラウドなど時代に合わせたよりタフなネットワーク作りが求められていくだろう。


 そんな中、政府の対応はネットによるデマを規制するような話ばかりであるから、なにやら本質を理解していないとしか思えない。