位置情報公開の制限
これだけモバイル機器やスマートフォンが普及してきて、位置情報サービスなども便利になってくると、新たなプライバシー問題が発生してくる。Google、Apple、Microsoftと、グローバルな展開をする企業のポリシーがここでも問題になってくる。
MS、位置情報データベースへのアクセスを制限(CNET Japan) 「iOS 4」、位置情報の詳細な履歴を保存--米研究者が報告 Wi-Fi対応デバイスの位置情報公開を制限したグーグル--(6.30) グーグルが公開するWi-Fi対応デバイスの位置情報(6.17) 日本を含む世界各国でGoogleストリートビューカーが街中の..(GIGAZINE2010.5.16)
位置情報のプライバシーといえば、ちょっと前まではGoogleストリートビューカーによるWi-Fi情報を取得、公開可能にしていたということが問題になった。写真に写っているものばかりでなく、WI-Fi機器の存在、MACアドレス、SSIDまでもが記録されていたということだった。
しかし現在はそれに留まらない。スマートフォンでWi-Fi接続がスムースに行く結果、これを追跡すれば持ち歩く人の個人の行動や移動ルートまで特定できてしまうことになる。さらにこれがWebからも参照可能になっていたとしたら、と考えると、確かに恐ろしいことではある。
問題は「収集可能」であることと「公開可能」であることである。前者はサービス提供側がユーザの位置情報、機器情報を必要とするために収集できることは認めなければならない。また継続的サービスのためにはデータベースへの位置情報の蓄積も同様であろう。クラウド的なサービスが一般的だからである。
しかし後者の問題で、第3者がWebから何らかの方法で他人のWi-Fi位置情報が参照可能になることは制限されるべきというのが、現在の流れのようである。当たり前のようにも思えるが、Googleなどはプライバシーが問題視されるまで、これらは公開情報であるというポリシーだったのではないかと思われる。
昔はスパイ映画や刑事ドラマなどでは、犯人の持ち物などに発振器を仕掛けて追跡するなどというお馴染みのシーンがあったものだが、いまやスマートフォンが当たり前にその役目を果たせることになる。たとえば親が子供の位置情報を知ったり、徘徊老人を追跡したりという使い方は以前からあったものである。サービス提供ととプライバシーの問題は、きわめて微妙な関係にはある。
もう1つは、第3者には利用が制限されるものの、Google、Apple、Microsoftなどには国家権力以上に、個人情報を握られてしまっているという懸念である。ネットの利用が便利になって進むほど、ユーザは知らないうちに監視が強められていることになるのではないかということである。それも国境が関係なくなっている。