ロンドン五輪開幕

 ロンドン五輪が開幕した。ついこの間、北京五輪が開かれたばかりと思っていたら、もう4年も経っている。歳のせいか、情報量が多すぎる世の中のせいで時間の流れが速く感じられるようになったのだろうか。朝から開会式の様子で起こされたようなものだ。

ロンドン五輪開幕! スポーツ発祥地で3度目(SANSPO.COM)
ポール・マッカートニー、力強い歌声で魅了

 近年、五輪の開会式はもはや式典というより、完全に国を挙げたイベントのショーと化している。選手は主役というより、ショーを盛り上げるためのバックコーラスかダンサーみたいな存在のようにも見える。もともと五輪は国威発揚の場であったが、プロも解禁となってからは商業主義化が進み、手の込んだショーとなっている。


 そんな中でロンドンは史上3度目の開催地となるという。かつての開催の様子は知る由もないが、さすが歴史のある英国のイベント内容に見えた。各種スポーツの発祥、英王室、産業革命などなど、取り立てて強調しなくてもその歴史の深さは随所に自然に見受けられる。


 しかしそんな中でも何か感動したのは、最後に大トリでポール・マッカトニーが「ヘイ・ジュード」を熱唱して会場と一体になったときである。国歌が歌われる時以上に盛り上がった。ビートルズが登場してからすでに50年、ポール・マッカトニーも70歳になったそうだが、もっとずっと若く感じられた。ナチュラルなカッコ良さはさすがだと思えた。もはやビートルズも、英国が世界に誇る古典になったのだと思わせるに十分な光景だった。五輪開会式がポール・マッカトニーによる事実上のビートルズのライブショーに変わった瞬間だった。


 さていつものことながら、日本の金メダルへの期待が報じられている。なでしこ、女子柔道・レスリングはじめ、多くの種目で金メダル候補が挙げられている。しかしそう期待通りに行くのは容易ではないだろう。気になるのは多くは連覇の期待がかかる種目が多いことである。すなわち2大会、3大会続けての五輪出場の選手が多いということである。裏を返せば世界に通用するレベルの選手は10年に1度くらいずつしか出現しないということだろうか。4年や8年経っても前回の覇者を超えるだけの選手は出てこないということになる。しかしメダル数を期待するのであれば、やはり下馬評ではあまり挙がっていなかった「伏兵」の選手の層が厚くないと難しいように思える。