Appleが音楽クラウド「iTunes Match」を発表

 Appleにはクラウド事業を行うイメージはなかったが、iTunesクラウド化するというアイデアがあったようだ。病気療養中のジョブズ氏も登場した発表も話題になった。

Apple,iOS 5とiCloud,音楽クラウド「iTunes Match」..(ITmedia)

 最近は何でも「クラウド」の名前を付けて各種Webサービスを宣伝する傾向がある。「本当にクラウドなのか。普通のWebサービスレンタルサーバーと何が違っているのか?」と突っ込みを入れたくなるものもある。それだけ「クラウド」はビジネスでもバズワードになっているようだ。まさにかつての「Web2.0」と同様の使われ方である。それはいまだに「クラウド」の定義が、はっきりとは捉えられていないからである。


 どうも最近はクラウドといえば、ストレージサービスが主だと捉えられているフシがある。Dropboxをはじめ、さまざまなストレージサービスが話題になっていることもあるだろう。だがクラウドの概念はもっと広い。およそすべてのコンピュータのリソースを仮想化して、ネットから利用出来るというものである。たまたまストレージが便利になったので、そこだけが強調されて「クラウドとはストレージサービスのこと」と思い込んでいる人も多いのではないだろうか。そこでまた、自分のデータを他所に預けるようなクラウドはいかがなものか、のような議論になる。


 そこにAppleiCloudとされる「iTunes Match」である。これはストレージサービスでもなんでもない。なぜなら自分のファイルのアップロードもダウンロードもいら必要ないからである。あえていえば「コンテンツクラウド」とでもいえるだろうか。著作権のある音楽ファイルなどは、アプリと同様に誰が所有しても聴いても同じものである。いちいち個別にダウンロードしたりするのは考えてみれば無駄なことである。だからPCからでもiPhoneからでもiPadからでも、同期だけできればよいという考え方である。たとえれば、自分が音楽を聴くのにいちいち録音する必要はなく、いつでもラジオのようなもの(これも仮想ラジオか)からオンデマンドで、いつでもどこからでも聴くことできればよいということになる。


 同じことは電子書籍や映像についても成り立ちそうだが、後者はパフォーマンスが問題になるだろう。いずれにしてもクラウドの概念を、少し進めてくれたような気もする。この考え方でいうと、電子図書館などもそれ自体がクラウドになるといえそうだ。