AO入試

 「モー娘。」の元メンバーが慶應大学SFCに合格。慶應まで芸能人を入れるようになったのか(昔からいっぱいいるか・・)、と思わせるのは、何年だったか前に広末涼子が「一芸入試」で早稲田大学に入学した記憶があるから。「モー娘。」なんて誰が誰だかオジさんにはわからんからどうでもいいが、今回のは「AO入試」での合格ということが目を引いた。
 いよいよ大学入学志願者と定員の数が同じになる「大学全入時代」に突入するそうだが、このAO入試も18歳人口が減少し始めてきた頃に導入された入試形式だったと思う。建前はともかく、結局面接だけで、志願者の自己推薦で大学側が納得すれば、ペーパーテストも高校の推薦や調査書も関係なく合格できるというもの。レベルの高い大学なら、この方式でつまらない受験勉強に時間を割かれることなく、優秀な学生を確保することができることになるだろう。
 ところが、学生の数がのどから手が出るほど欲しいレベルの低い大学まで、こぞってAO入試を導入するものだから、年明けのペーパー入試をやる前に青田買いで受験生を確保できる手段になってしまった。面接など形だけ、合格させたら他の大学は受けられないなど、入学者の歩留まりを確実に計算する手段になった。その他にも各種の推薦もあったりするものだから、何がなんだかよくわからない。
 その結果、ペーパー入試はもはや崩壊、やってもほとんど全員合格させるようになったのが現実だろう。早稲田、慶應といえども、臨時収入源でもあるペーパー入試受験者の大幅減少は食い止められそうにもない。昔は「入学したい勉強したい」と思っても入学させてもらえなかった。今は「どうぞ入学してください」と引く手あまたで入学しない、入学しても勉強をしない人ばかり、という現実になっている。景気が回復したとしても、今後大学そのもののリストラは避けられそうにもない。