ホリエモンに実刑判決

 ホリエモンに半年という異例の速さで、一審で実刑判決が下った。傷害致死事件でもないのに、ちょっと厳しすぎるのではないかと思えるほどだ。世間的、市場的には逮捕されて経営から退き、何ヶ月も公の場から姿を消してからは、もはや過去の人になった感がある。
 マスコミにでっちあげられて逮捕、起訴されたようなことを言っていたが、マスコミを利用して、自分自身もライブドアも浮かび上がっっていったことも事実だろう。
 証券のしくみを知らない者にとっては、ホリエモンは何を悪いことをしたのか、よくは理解できない。即日控訴したので、おそらく最高裁まで行くだろうが、結局最後に無罪になったとしても、その頃には世間的には、もっとどうでもよい話になっているだろう。有罪か無罪かよりも、騒がれていた絶頂の時点で逮捕されたという事実の方が、世間的には象徴的な重い出来事だったと言えるだろう。


 難しい起訴事実はともかくとして、ホリエモンの一連の行動を追ってみるに、やはり「やりすぎた」ということに尽きるだろう。ビジネスやITの世界の中だけで活躍している分には、知る人ぞ知る存在だったのだろうが、プロ野球参入表明に始まり、フジサンケイグループ買収の企て、衆院選立候補と、マスコミを利用した知名度をもとに、各分野に手出しをしようとしてきた。
 表面的に見れば、何やら新時代の寵児のように礼賛される向きもあったが、裏ではその過程で多くの敵を作ってきたことも事実だろう。その結果、伸びすぎたところで足元をすくわれたという感がする。
 検察や裁判所も法の下にとは言うが、その適用には、やはり日本の風土の中では、そのときの世論の動向を反映せざるをえないということだろう。誰か特定の人間の陰謀ではなくても、それが国策捜査にも見えてしまうことになる。


 ホリエモンが大学時代に同級生と立ち上げたITベンチャー会社が発展すると、次第にホリエモンの野心に付いていけなくなった仲間達は離れていったと聞く。同じように裁判の場になって、側近がホリエモンに反旗を翻している。どちらが正しいという以前に、ホリエモンの失敗はこのへんだと思った。ましてや側近の1人からは、不可解な死者まで出している。
 昔の武将ではないが、天下盗りの野望ためには自分に合わない部下は切り捨てていくというやり方をしなければ、ここまで成り上がることはできないというのならば、それも寂しい話であろう。