井川いま一歩の投球

 ヤンキース井川が2度目の登板。初登板が打たれすぎだったために、早くも真価が問われる立場になっていたようだ。5回までは1安打1失点の好投を見せたが、6回にあの野茂をよく知るピアザにヒットを打たれた後、次打者に失投を捕らえられ、2ランホーマーを打たれ降板。勝ち投手の可能性はあったものの、その後同点、サヨナラ負けとなり、メジャー初勝利はならなかった。

井川、6回途中3失点で初勝利お預け ヤ軍はサヨナラ負け

トーリ監督はそれでも投球内容を評価したようだが、井川自身は「あんなピッチングで白星が欲しいとは思いません」とキッパリと言っていたことには拍手を送りたい。なんとか勝ってくれればとは思っていたが、本人は阪神のエースだったプライドがそう言わせるのだろう。その意気や良しである。


 試合での投球内容はもちろんだが、日頃のトレーニングに対する姿勢やチームメートへの気配りなども、監督や同僚は見ているらしい。それが1度や2度の失投があっても信頼が揺るがない根拠らしい。トーリ監督も調整法では、井川に文句の1つも言わない。
 また初登板で大量失点で降板したとき、チ−ムはAロッドの劇的逆転満塁ホーマーでサヨナラ勝ちしたが、意外にもAロッドが「点は取られたが、いいピッチングをしていた」とインタビューでは井川をかばったらしい。

 なぜかといえば、実はAロッドは周囲とはやや距離をおき、人知れず練習もする努力の人らしく、キャンプの時も全体練習が終わって誰も居なくなって薄暗くなるまで居残り練習をするらしいのだが、いつものように1人練習をしていたら、今年はもう1人黙々とランニングを続ける選手がいたという。それが井川だったのだそうだ。孤独なタイプのAロッドだが、井川に自分と似たような部分を感じたのではないか。それがインタビューのときの擁護発言になったのではと推測されている。いい話だ。


 やはり、クラブハウスで孤独に将棋をしているだけではない井川のようだ。もともと阪神ファンではないが、今は松坂よりも井川の活躍の方を期待している。まだヤンキースは投打がかみ合ってきていないようだ。井川が快投を見せ、松井やAロッドが援護の大爆発を見せてくれる日を待ち望んでいる。