オフィスフォーマットはどうなる?

 何日か前にオンラインオフィスソフトのことを話題にしたが(オンラインオフィスソフトはどうなる)、実は最大の問題はオフィスソフトのファイルフォーマットの標準化がどうなるかである。

 一般にWebアプリケーションのデータファイルの形式は、すべてがXML形式になることは常識である。またWebで処理された結果を表示するために出力されるWebページも、XHTML文書になることも当然である。


 ところがオフィスソフトに関して言えば、Webの時代になっても、Microsoft Officeの資産と主導権を維持したいMicrosoftXML形式であるOpen XML File Formatと、OpenOffice.orgなどのオープンソース陣営が提唱するXML形式であるOpen Document Format(ODF)が異なるために、その規格が世界的にどちらが標準として採用されるかが大きな問題となっている。
 マサチューセッツ州やベルギー政府などが、いち早くODFを採用して裁判にもなり、行政なども巻き込んでいるので、ややこしいことになっている。

マイクロソフトがライバル規格のODFを支持--ANSIの承認に賛成票

 従来のMicrosoftであれば、わざと非互換のフォーマットにして自社の優位性を維持しようとしたのだが、ネットの時代に、もはやそういう閉鎖性は通用しなくなったようだ。その結果、ライバルであるODFの存在も無視できずに標準規格としても賛成し、かつOpen XML File FormatからODFへ変換するツールまで提供することになりそうだ。


 そもそもワープロで文書は作ったけれども、WordがインストールされているPCでなければその文書を開いてみることさえできないというこれまでの状況がおかしいわけで、他人に文書を渡す場合には、どのPCでもAdobe Readerがあれば読めることと、改ざんと再利用されるのを避ける意味でもPDF文書に変換していたものだ。ところがWordの場合にPDF文書に変換するには別にAcrobatが必要になる。とっさの場合には、周りにAcrobatがインストールされているPCがどこかにないか探し回ることになる。これが OpenOffice.orgなら、初めからファイル保存のメニューにPDF出力が存在している。
 さらに言えば、XML文書といっても所詮はテキスト文書だから、エディタでも編集できないことはない(まともにはやる気はしないだろうが)。


 Google Docs & Spreadsheets でも、初めからファイル保存はODF形式で、PDF出力は標準装備である。ということから、勝負はすでにODF陣営にあると思っている。今後はこれまでMicrosoft Officeで蓄積された文書を、いかにODF形式に移行させるかということに関心が移っていくのではないか。それが実現されたときには、もうMicrosoft Officeは不要の時代になっているであろう。