首都圏のはしか流行

 東京周辺で若い人中心に今どき「はしか」が流行しているのだそうだ。特にいくつかの大学では、はしかの感染者が増えたために、学校閉鎖に追い込まれているという。

[解説]首都圏 はしか流行

学級閉鎖みたいなものは、インフルエンザなどで小学校でなら経験したこともあるが、大学などでそんなことは初めて聞く話だ。そこまで大学生の幼児化が進んだのか?などと、不謹慎ながら冗談の1つも飛び出しそうだ。


 昔は、はしかやおたふく風邪に罹るのは子供が大人になっていくための通過儀礼みたいなもので、大人になってからでは非常に重くなるから、と親や小児科医に諭されたものだった。
 しかしある年代以降からはワクチン接種により、この通過儀礼も不要のものになったようだ。それにも拘わらず、なぜ大人になってから感染してしまったのか。どうもそのワクチンの免疫力は不完全のものであるようだ。外から接種した抗体では、長い年月の間病原体に曝されないと、免疫力が弱まってしまうようだ。やはり1度、自分が感染して内部からできる抗体の方が免疫力が永続的なのだろう。


 大学生など20代前半の感染者が多いのは、ちょうどこの世代が、中途半端なワクチンの接種率であり、免疫力が弱くなってきた人と、全く無防備の人もいるから感染予備軍も多い。しかも年代的に広範囲に活動する年代なので、同じ学校でも小学生よりは一気に感染範囲が拡大しやすいようだ。
 社会人になっていれば、上の世代の人の方が多く、免疫のある人たちばかりだから、感染が広がることも少ないのだろう。中高年のおやじ連中は鍛え方が違うから、ということではない(笑)。


 だから昔のように、子供の頃に感染させて免疫をつけさせればいいではないか、ということにはならない。日本国内だけならいざ知らず、海外渡航する人が増加した現在では、国際的にはしかを海外輸出されては困るということらしい。

 そこで、大人になってからもう一度ワクチンを接種するようにしているのだそうだが、いい歳になってからでは、命に別状でもない限り、本当にまじめに接種を受けるものだろうか。


 時代が進んで、ウイルスや病原菌から隔離された無菌培養みたいな人間も増えたが、逆に人間の本来の抵抗力もどんどん弱まり、ちょっとした病気にも弱くなってきているのかもしれない。それでも全体としては平均寿命は延びているのだろうから、何が良いのかは判断が難しいところだ。