ハロー・コムスンの不正

 高齢化時代に24時間介護サービスを売りに、ビジネスにしてきたコムスンが不正請求やらのゴタゴタで、厚労省から処分を食らった。何も昨日今日に始まった話ではなく、以前からあまりいい噂は聞かれなかったようだ。

コムスン:現場任せ「ずさん」 ヘルパー体調不良相次ぐ

 ハローコムスンのテレビCMで世間的には知られるようになり、介護ビジネスも本格化してくるかと思わせたものである。CMが流れていた当時は福祉ブームも追い風になっていたように思う。


 その仕掛け人が、あのジュリアナ東京で一世を風靡した経営者だそうだ。ビジネスになると踏むや、仕掛けは早いらしい。景気の良かった時代に、ある程度財産を蓄えたが、国や病院、あるいは家族にも介護を見放されている高齢者に、介護サービスを提供し、その対価を得ることが十分ビジネスになると踏んだわけだ。


 そして、その手法は不況の時代にひとり景気のよかった、悪質な派遣会社の手法そのままである。つまり報酬は多く請求し、契約社員扱いのヘルパーには悪条件で働かせ、大量リストラ、大量採用を繰り返す。
 今回の場合は、高齢者を人質にしたような経営者側の不正なだけに、よけいに浅ましさを感じる。現場のヘルパーには特に問題があるわけでなく、むしろ行き過ぎた金儲け主義の被害者に近い。
 自分が高齢者になっても、現場の人間はともかく、こういう根性の曲がった経営方針の会社には世話になりたくないものだ。


 ただ今回の処分や指導をしているのも、これもいわく付きの厚労省である。柳沢大臣の「産む機械」発言あり、年金不明問題で一気に参議院選の政局へと突入させてしまっている。コムスンに対しても、早くも抜け道だらけの「ずさん」な処分になりそうな気配である。

コムスン:連結子会社の日本シルバーサービスに譲渡

これでは以前から、不正が発覚した事業所をすぐに潰して、新しい事業所を立ち上げて、さんざん責任逃れを行ってきた手法と同じである。よほど介護ビジネスはおいしいと見えて、手段を選ばず手放すつもりはないようだ。


 介護もビジネスとして成り立つのはよいが、そのトップに立つ人間は、もうあくせくと金儲けだけに走る必要にない人間、たとえばビル・ゲイツのような人間がやればよいのではないだろうか。日本にはゲイツほどの金持ちはいないだろうが、かつてはゲイツと世界一の金持ちを競った元西武グループ堤義明氏みたいな人が、世間に対して罪滅ぼしの意味でもでそういう事業に関わったらどうだろうか。