Google AppsはOfficeにはならない

 あまりネタがないと、すぐこの話題を取り上げたがる。GoogleはDocs & Spreadsheets を含む企業、団体向けのネットサービスであるGoogle AppsMicrosoft Officeのようにはならないと言っているようだ。

Google AppsはSaaS版MS Officeにならない

Microsoft Officeのようにはしないではなく「ならない」と言っているのは、Googleのサービスはユーザ中心に開発が行われるべきだから、ということらしい。


 Microsoftはライセンス付与という名のもとにユーザの囲い込みを行い、あまり必然性が感じられないバージョンアップごとの機能や仕様変更を行ってきた。その結果、ソフトを購入してから、分かりにくい操作やメニューやらに、入門書を片手にやっと慣れたかと思う頃には、またバージョンアップによって仕様変更されてしまっている。あったはずの微妙な場所のメニューが見つからなくなったりしている。なぜお金を払って、不便な思いをしなければならないのか。昔は新しいバージョンが出ると、早めに手に入れたものだったが、最近では何年も放置するケースが増えた。


 そのMicrosoftGoogleに同じようなユーザの囲い込みをされることを恐れているのかもしれないが、全く見当違いのようだ。まずGoogleはソフトの購買者の囲い込みでビジネスが成り立っているわけではない。その意味では余裕だろう。むしろ、Googleのサービスの優秀さをアピールすることにより、ますますアクセスするユーザの延べ人数が増えてくれればいいだけだろう。


 またMicrosoftはOfficeソフトの機能をマネされると思っているのだろうか。もしGoogleもそう考えているのだとしたら願い下げだ。Office的発想は、もうデスクトップ時代の遺物として置き去りにしてほしい。Word1つ取っても、とても創造的な文章を作成するためのツールとは思えない。集中して文書を入力しようとすると、頼みもしないインデントはするは、間違ってクリックすると、とんでもない画面になるはで、イライラしてきて集中力が途切れる。そんなものはデフォルトの設定を変えればいいというかもしれないが、その設定の場所がこのへんかと探しても、たいていは裏切られる。バージョンが変わるとまた設定の場所も変わったりする。

 他の人はどうしているか知らないが、集中して文章を作成するときはテキストエディタを使った方がはるかにましである。Wordを使うのは、Word形式の文書ファイルを提出せよという指定があるから使っているだけだ。


 Excelの方が役にたつという点では、はるかにましだが、統計関数など素人が作ったのではないかと思えるほどの欠陥があった。今のバージョンではこっそりと修正されているかもしれないが。
 しかし少し古い記事によると、日本人はExcelを計算よりも、緻密なレイアウトのために使っているのだそうだ。

GoogleのSpreadsheetsは日本人の肌に合わない!?

HTMLのtableタグのごとく、入り組んだ表の枠の中にきっちりと文字を埋め込むのが好きらしい。しかし、どう考えても表計算の本来の趣旨の使い方とは思えない


 そういう使い方が性に合う人はOfficeを使い続ければよいだろうが、同じような発想をWeb2.0的世界には持ち込むべきではないだろう。ワープロにしろ表計算にしろ、シンプルだが便利な時代の原点に戻り、それに新しいアイデアやソフトウェアを組み合わせた、ネットならではツールになってくれた方が、よほど魅力的だ。その意味でも、もはやOfficeとの競合製品にはなりえないだろう。