日米大学野球、敵地で初の優勝

 どこまで続くのか、早稲田大学・斎藤の「不敗神話」。甲子園優勝なら、毎年どこかの学校や選手には当てはまるのだが、大学1年目のまだ夏休みも前に、六大学優勝、33年ぶりの全国大学優勝、敵地で初の日米大学野球優勝、と立て続けに実現させてしまった。ただの人気だけではない、何か神がかり的だ

佑ちゃん米国でも優勝! 日本が敵地初V 日米大学野球

あるスポーツ紙には、斎藤のおかげで優勝すれば「佑勝」だと書いていた。まさにその通りになった。メジャーのスカウトもメジャー候補生の米国の大学生を見にきていて、ついでに日本の大学選手も見ていた。斎藤のことは「それほどたいした投手じゃない」と見ていたようだ。確かにそれほど体躯が大きいわけでもなく、剛速球を投げるイメージでもない。米国のマスコミも、斎藤が中年女性に人気があり、ハンカチーフ・プリンスと呼ばれているエピソードを興味深げに報じているだけだった。


 そして期待通りの勝利と翌日の優勝。もちろん野球は一人で勝てるものではないが、やはり斎藤の存在によるものが大きかったと思わざるをえない。
 大学の選手となっても、ただ一人注目を浴び続け、行くところ報道陣が付いて回る。それまでの大学野球では考えられなかったことだ。それを横目で見ている先輩や同輩には、どう映ったか。日常はともかく、試合になったら、やっかみなど感じている余裕はないだろう。


 1年生の斎藤が、あれほど活躍もして注目を浴びているのに、先輩である自分らが不甲斐ない試合やプレーをしたら観客のいい笑い者だし、集まっているマスコミにも何を書かれるかわかったものではない。そこからくる必死さが、集中力や気迫のこもったプレーを引き出したといえるのではないか。同輩も同じで、斎藤からいい刺激を受けているのだろう。今回の同じく1年生で代表の村松も、抑えで斎藤と並ぶ活躍をしている。メジャーから見れば、斎藤以上の逸材らしい。

 斎藤の存在がチームを必死にさせ一丸にしている、といってよいのだろう。それが斎藤の不敗神話のからくりのような気がしている。それはまたスター選手の条件でもある。