イチロー球宴MVPでメジャー熱加速?

 イチローがメジャー・オールスター戦でMVPに選ばれた。たった1試合しかやらないメジャーの球宴だが、その中で3打数3安打、それもランニングホームランを含む活躍だった。

 むしろメジャーでは見慣れた豪快なホームランでなく、球宴史上初となったランニングホームランで、イチローが判断よくダイヤモンドを激走したのが、球宴らしい派手なパフォーマンスに見えたようだ。
 最近では、イチローならこの程度の活躍はするだろうと、当たり前に思えてしまうのが凄いところでもある。もはや残る記録はワールドシリーズ制覇でのMVPのみと言われることになった。


 このイチローの活躍に、国内プロ野球選手のメジャー熱がますます高まり、メジャー流出に歯止めがかからなくなるのが懸念されるという。

イチローMVPでメジャー熱拍車、日本球界に深刻問題

確かに一般の人でもプロ選手でもイチローの活躍は凄いと思っても、自分もイチロー並みに活躍できると思っている人はいないだろう。


 むしろ自分もメジャーでやれる、試してみたいと思わせているのは、斎藤や岡島の存在だろう。桑田についてもそうかしれない。斎藤は日本ではお払い箱寸前だったのに、これほどの活躍だし、岡島にしてもメジャーでなければこれほど注目されることもなかったろう。「自分もメジャーという環境の中では、もう1度チャンスを見い出せるかもしれない」と、国内でくすぶっている選手を刺激するのに十分だからである。


 松井に関しては、王監督などもやや心配しているようだ。日本にいるままだったら、最も王監督の記録に近いと目されていた松井だけに、なおさららしい。現在はトーリ監督から信頼を得ているが、もしも今年ヤンキースプレーオフに進出できないようなことになれば、トーリ監督解任、大幅なトレードなども必至の情勢となり、松井もヤンキースから放出される可能性もある。FAになったイチローヤンキースが獲得しようものなら、松井は不要になるのではないかという。
 つまりホームランを狙わず(捨てて?)、ヒットだけを狙う打者になってしまうのだったら、攻走守3拍子揃ったイチローヤンキースが獲得できれば、松井も不要になるというわけだ。


 来期以降のマリナーズとの莫大な金額での再契約が取りざたされているが、今のマリナーズにそんな大金を支払うことはできないということである。結局、資金力のあるヤンキースレッドソックスが獲得に名乗りを上げるのではないかと目されている。

 さらにヤンキースは3人目の外野手として、中日・福留にも関心を持っているという。そうなると右翼・福留、中堅・イチロー、左翼・松井と、ヤンキースの外野陣は日本人3人で占められるのではないかという噂まであるという。


 今は日本人メジャーがもてはやされている(ように報道されている?)が、本当の評価はこれから定着してくるだろう。野茂や佐々木はそれなりの評価を受けたが、松坂フィーバーなど、現在はちょっとバブル景気気味に思えてならない。日本での実績は別として、期待とは裏腹にメジャー向きな日本人選手と、そうでない選手の色分けがはっきりとしてきているかもしれない。