IBMとSunが提携
IBMとSunがSolarisの販売をめぐって提携することになった。これは過去になら考えられない組合せだと思えるが、PCとネットの分野で独走を続けるMicrosoftやGoogleに対して、いわばコンピュータの老舗企業同士の強力な巻き返しと言えるのだろうか。
IBMとSunが提携――IBMがSolarisを販売へ
IBMといえば、歴史的にはMicrosoftに軒先貸して母屋を取られたような関係であった。特にPCのOS分野ではMS-DOSに対するIBM DOS、Windowsに対するOS/2など技術的には優れたものだったが、マーケット的にことごとく失敗し、事実上、PCのOSは放棄したような形である。また、PCのハードも中国企業に売却している。ワークステーション(WS)分野でIBMのUNIXのAIXもあるが、シェア的にはたかが知れたものだろう。早くからLinuxのサポートを打ち出して、Windowsサーバーなどに対抗してきたと思われる。
一方、SunはWS分野の唯一の勝ち組だったといえるが、PCの時代になり、サーバー分野でさえ、高価なWSはシェアを減らし、逆にSolorisもPC版をOpenSolarisとして提供するようにさえなった。Linuxとの関係も微妙である。またGoogleの事実上の育ての親とも言えるわけで、今回のStarSuiteの提供などにもその関係はみてとれる。ただ従来のような高価なWS路線と、Linuxと同じようなオープンソース路線と股裂き状態のようなもので、今後の経営路線を問われるところでもある。
そんな中で両者のSolarisを介しての提携である。SunにとってはIBMを通じてビジネス分野へのSolarisの普及を図れるし、ハードはIBMが保守をしてくれる。ビジネスの対象はIBMの顧客で安定している。一方でオープンソース分野にもWSでのノウハウをつぎ込むことができる。
IBMにとっても自社のAIXやLinuxなど、いまひとつのシェアだったものがこれからはSolarisを軸にしていくことができる。いままでのようなOSでの失敗をくり返す心配はなくなったと思えるのである。
MicrosoftやGoogleが一般の不特定多数のユーザ、IBMとSunはビジネス分野の企業ユーザと、明確なターゲットがより鮮明になってきて棲み分けされてくるといえるのかもしれない。オープンソース団体などは、両方にかかわっていることになるのだが、何を収益源としていくかによって、何らかのクループ分けができていくかもしれない。いずれにしてもネットの世界では、特定企業にだけ税金を払うがごとき構造だけは、もはやくり返してほしくはないものだ。