米Microsoftが反Red Hat Linuxサイト

 MicrosoftLinux、特にシェアトップのRed Hat Enterprize との比較広告のサイトを立ち上げて、Windows Serverのコスト的優位性をアピールする戦略に出ているようだ。

米MSが反Linuxの新サイト開設 (@IT)

 MicrosoftLinuxの関係としては、90年代終わり頃にMicrosoft内部資料だとされたホワイトペーパーが流出して、MicrosoftLinuxに対して危機感を持っていることが知られたことがあった。意図的なリークではないかという説もあったが、以降、Microsoftのビジネス展開にとっては、オープンソースの象徴でもあるLinuxは目の上のたんこぶであり続けていることには変わりがない。
 特にRedhat Linuxは米国ではシェアトップであり、オープンソースであるFedoraは、世界中でもっともインストールされている数が多いといわれるLinuxである。
 対して欧州では、Red Hatではなく、ドイツ発のSUSE Linuxがシェアトップになっている。このSUSEをかつてPCネットワークのNetwareで一世を風靡したNovellが買収した。欧州ではMicrosoftがこのNovellと提携して、WindowsばかりでなくLinuxもサポートしているような顔をしているので、ややこしい。Linux陣営の分断を狙ったものではないか、とさえ言われている。


 米国ではお好みのようなMicrosoftの比較広告だが、いまだにTCOがどうとか言っている。企業の導入の決定に影響力のある人を対象に説明すれば、こんな話になるのだろうか。ネットワーク管理者や運用者レベルでは誰も相手にしない話だろう。Windowsクライアントの話ならともかく、インターネットに接続する目的で、Windows Serverの方が優れているという主張をするのだったら、問題外であろう。外部インターネットサーバーとしてWindows Serverを使うべきではないというのは、管理者の常識に近い話である。


 Microsoftは何を相手に戦おうとしているのか、わからなくなっているのかもしれない。Linuxを相手にとはいっても、それはRed Hatだけではないし、ライセンス販売で競合するわけではない。かつてのMacとのOSのシェア争いのようなものとも違う。サーバー分野でのシェアを上げたいためにRed Hatを標的にしているのかもしれないが、そのためにLinuxや周辺ソフトウェアに制約を加えようとする行為は、実はオープンソースの流れそのものを敵にまわすことにもなりかねない。


 比較広告といえば、古くはペプシコーラとコカコーラから、最近では国内のMacのWindowsとのTV CMを思い浮かべる。ユーザからすれば気分のよいものではないが、何より良い悪いを判断する焦点のピントがはずれていることが困る。Microsoftの場合でいえば、もっともTCOを減らすことに効果があるのは、Officeのライセンスにかかる経費の節減であろう。