ネット利用は寝不足を招く?

 ネットやテレビなどのメディアを就寝前に長時間利用する人ほど寝不足になる傾向にあるという、なんとなく当たり前の調査結果が示されている。

睡眠不足感、就寝前のネット利用時間に比例

それによると、睡眠時間そのものは同じくらい取っていても、寝る前にネットなどをやると熟睡できなくなるせいか、寝不足を訴える人が多くなるのだという。ネットもテレビも同じように捉える調査は、あまり適切だとは思えないが、いずれにせよ、ネットは眠らない、ネットをやる人は眠れないということか。テレビと一緒くたにするならば、調査する側が初めから原因はモニターにあるという予断を持っているように思う。


 モニターに関していえば、ブラウン管型から液晶型に代わって、事情は大きく変化したと思う。ブラウン管は、なにしろ目に負担がかかる。強い輝度の光が目を直撃するから、長時間見ていると実際視力の低下にもつながると思える。コンピュータをやる人間は、早くから眼鏡をかけている人が多いから、あまり意識はしないかもしれないが、それでも度が進む率が高くなるかもしれない。また実際計測している場に立ち会ったことがあるが、ブラウン管は電磁波が多く出ている。コンピュータ屋は常に「電磁波の攻撃を受け続けている」状態なので、遺伝子に影響して女の子しか産まれなくなるとか、人体への影響が取り沙汰されたこともあった。


 それが今では、ノートPCから始まった液晶画面がデスクトップでも、テレビでも当たり前の時代になった。今から10年前くらいの液晶モニターが出始めの頃、システムの入れ替え時期に当たったとき、強力に液晶モニターの導入を提案したことがあった。目が疲れない、省スペース、一般利用ならば液晶の方が今後は主流になる、などの理由を挙げた。
 その頃、経営者に癒着していたコンサルの連中は、ブラウン管の方が画質がいい、まだ液晶は高いなどの理由で反対した。「予算に問題があるなら、自分の部署だけでも余計なソフトウェアはいらないから液晶にしてくれ」と主張した。事実、しぶしぶ主張が認められてそうなったが、その後の液晶の発展は言うまでもない。本当に先を読めない人達が、物事の決定に余計な口を挟む状況には困ったものだ。


 というわけで、液晶画面は以前のブラウン管に比べれば、はるかに目には優しくなっているはずである。テレビについても高画質になったとはいえ同様のはずである。だから、液晶画面で目が疲れるから寝不足気味になるというのは早合点だと思う。またネットとテレビでは、画面への集中度も異なるので、あまり一緒にもできないだろう。テレビは映像に、ネットでは動画もあるとはいえ、やはり画面の文字に集中している時間が長いはずである。さらにテレビのように受動的でなく、ネットは文章を入力したりと能動的な作業が多い。夜中寝る前にブログを書いたり、メールを打ったりすることはまさにそうである。
 つまりネットをやっているときは、ただボーッと見ているだけでなくて、自分の頭や指先を働かせながら長時間経過するのである。その後に睡眠しても、結局なかなか脳が寝つけないのではないだろうか。レム睡眠みたいに、まだ脳が働いている時間が長くなるとかがあるのかもしれない。


 それから生活時間からして、だいたいネットをやっていると夜更かしをしてしまう。睡眠時間は同じであっても、寝る時間帯が問題なのではないか。早寝、早起きと遅寝、遅起きだと、後者の方がどうしても寝不足を感じるようになってしまう。ネットに関していえば、ブロードバンド時代になる前は、ダイアルアップのテレホーダイタイムというのがあった。それに合わせてネットにアクセスするのは午後11時過ぎということになった。自分もその頃からずいぶんネットで夜更かしもした。


 ブロードバンドの現在ではあっても、やはりネットが混雑してサーバーが重くなるのは、午後11時過ぎであまり変わっていないように思われる。こういうネット社会の時間帯が利用者の慢性的な寝不足を招いているかもしれない。とかくネットをやっていると、昼行灯になりがちではある。