「世界陸上」の舞台裏とネットワーク

 世界陸上が大阪で開催されている。2年おきで開催されているが、東京で開催されたのが1991年だから、もう16年も経ったことになる。

 当時はカール・ルイスがスーパースターで長嶋監督が「ヘイ、カール!」と声をかけたのが失笑を買ったことや、マラソンで谷口が日本人初の金メダルを獲得したことが記憶に残っている。


 陸上といえば、日本人アスリートはマラソン以外は世界レベルには届かないものだと思われていたが、近年はなかなか入賞の可能性のある選手も出てきて、時代も変わったものだと感じる。特にトラック競技で日本人が肉薄できるようになったのは驚きである。水泳でも日本が復活しているが、単純な走る、跳ぶ、投げるなどの運動能力によるところが大きい陸上競技で活躍できるようになったのは、科学的トレーニング法やらシューズやウエアその他の進歩も大きいのだろう。選手もかなりビジュアルも意識したような競技スタイルに変わっている。


 もう1つ見逃せないのが、競技舞台裏での中継システムである。表面的にはテレビ中継の進化のようだが、本質的にはITとネットワーク技術の駆使があるようだ。国内ではエプソンがIT部門を提供している。計時、計測システムのセイコーはもちろんだが、大会を運営するためのネットワークが興味深い

“65億人”を魅了する「世界陸上」の舞台裏 (ITmedia)

 全世界に配信するための公開サーバーだけでなく、競技場の中では競技結果が瞬時に処理されるリザルトサーバー、更新される記録の参照や過去の記録のコメントを引き出すデータベースであるCISサーバーなど、競技場自体が巨大なネットワークになっているようだ。


 陸上競技はもっともシンプルなスポーツで、ヨーイ、ドンで競争して順位だけ争えばいいと思っているのは、大昔の話のようだ。あまり表には出ない部分だが、人間の原始的な運動能力を競う場で、最新のIT技術の力が発揮されているというのも、なかなか面白い。表に出る部分としては、なぜいつも世界陸上のTBSの顔が織田裕二なのだろうか。この人だけは違和感を感じて仕方がない。