MicrosoftがAPIを公開

 Microsoftが技術公開をして互換ソフトの存在を認めた、などというテレビでの報道があった。いつもテレビでPCやネットの報道をするときは、一般の視聴者にもわかりやすく説明するつもりなのか、ちょっとズレているのではないかと感じるときがあるのだが、今回もそうだった。何かWindowsやOfficeの技術公開によって、互換ソフトを作ろうというメーカーがWindowsと競争することが可能になったみたいな報道であった。


 それでネットニュースを見たら、APIを無償で公開することにしたとのことである。今さらの感のあるが、特にEUでの独禁法対策が直接の動機らしい。表面的にはMicrosoftオープンソースを支持していますというポーズだが、なぜこの時期にというと、どうしてもYahoo!買収のためのイメージアップをしているのではないかと勘ぐってしまう。

MS、Vistaほか主要製品のAPI公開―独禁法問題対策で (ITmedia)

 GoogleにしろYahoo!にしろ、ネットサービスのためのAPIはどんどん公開している。公開することが自社の不利益にはならないどころか、もっと大きな市場に繋がると踏んでいるからである。これはもともとオープンソースの大きな流れの結果であり、ボランティアでやっている結果ではない。

 Microsoftは技術公開をせずに独占してライセンス商法を行うことで、巨大企業に成長した。かつてはソフトウェアの商売とは、一部を除き、それが通常の姿だと思わされていた。ところがネット時代になって、ここの発想がガラリと変わった。もはやMicrosoft的なライセンス商法は、自由がなかった帝国主義時代のものにも思われるくらいであり、GoogleYahoo!のような企業とはおよそ文化が水と油ほど違うのではないかと思える。


 しかしオープンソースが優勢になってくると、Microsoftオープンソースの支持者であるかのような態度を取りながら、なんとかネットでも主導権を握ろうとしている。その一環が今度のAPI公開だろうが、それによってネットサービスの分野でMicrosoftに関心が傾くとは考えにくい。直接的には、EUでの裁判で、Windowsファイルサーバーの代替になるSambaに対して、Microsoftは技術公開をすべきという裁判所命令が出たことによるのだろう。


 Microsoft製品の使い勝手がよいから使うというのではなく、ネットの中でWindowsを含めた混在環境でトラブルになったとき、原因がWindowsにあっても技術公開されていないから、お手上げになることが多いからである。
 特にSambaはNetBIOSのプロトコルを利用している。自分もSambaサーバーで入れて、大容量の外付けUSB HDDをネット上の共有フォルダとして利用しているのだが、NetBIOSは挙動不審で苦手である。自分1人で使っているときはなんとでもなるが、ちょっと大人数でアクセスすると、もう繋がらなくなったりすることがしばしばである。これもプロトコルの仕様がはっきりしていなかったせいであろうか。


 昔ならいざ知らず、もはやWindows互換OSとか、Microsoft Office互換ソフトのようなものは必要もない。Officeで言えば、OpenXMLフォーマットを取り下げるかODFに互換とするべきだろう。もっとわからないのは、Javaに対抗して出てきた.NETの行き先である。これも無くても全然困らないものである。