ネットで販売される薬は偽者

 ネットによる販売が常態化してきているご時世とはいえ、やはり直接体に入る薬物に関しては何でもいいというわけではない。ネットだけに、EUにおける調査に限っての話といってよいかどうか、気になる報告がある。ほとんどのネット薬局で売られている薬物はバッタモンであるということである。

ネット薬局で販売される薬、6割以上が偽物との調査結果(INTERNET Watch)

 もともと怪しげな毛生え薬とか強精薬などの通信販売は、昔から偽者の典型であることは暗黙の了解であったが、現在はネットがそれがとって代わったということになるのだろうか。6割以上は偽者か違法販売だという。それ以前にネット薬局の95.6%が違法営業であるそうである。少なくともリアル薬局は薬剤師の免許がなければ開業できないものであるから、違法のネット薬局は単に怪しげな薬をレートの安いどこかから仕入れて、ネットで横流しするだけで開業できてしまいそうな気はする。


 社会的にはしばしば芸能人が麻薬に手を染めて逮捕されたりする事件がある。またそうした一度、法を犯した人間が再び何事もなかったかのようにテレビ画面に出てくることも信じがたいものがある。いかにモラルの低い世界であるかということを見せつけているようなものである。大学の運動部が薬物に手を染めていたことが発覚して、運動部は廃部、指導者は解雇となったことがあったが、当然のことである。
 そうした事件のとき、いつも入手ルートは徹底解明されているのだろうかと疑問になる。いまでは入手ルートにネットが悪用されている可能性は大きい。世間やマスコミ的には「だからネットが悪い」ということになるのかもしれないが、それは入手した人間が悪いに決まっている。同時に売られていたから買っただけということでも、ネットを悪用していることには変わりはない。


 青少年向けにネットにフィルタリングをかけること、いわゆる有害サイトの認定の基準が問題になっているが、話は簡単で法を犯していると認められるところや違法営業サイトがそれに当てはまるだろう。そしてそれは何も青少年に限った話ではなく、善悪の分別のつかない大人に対してもフィルターするべきであろう。メディアに登場する芸能人ですらそうなのだから、これらの規制には賛成である。ただ「ネットがあるから法を犯す人間が増えているので、ネットそのものを規制する」という発想には反対である。