iPhone は黒船襲来となるのか

 ソフトバンクからiPhoneの発売予定と料金体系が発表された。7月11日発売だという。すでに欧米では席巻してきたiPhoneだが、タイムラグのあった日本での普及は、国内の携帯の事情からどうなることだろうか。

iPhone、月額通信料金は7280円からに--ソフトバンク..(CNET Japan)
「ドコモにはプラダフォンがある」─山田新社長、...(ITmedia)
黒船「iPhone」襲来 “鎖国”市場の再編促す可能性も (6.16)

 国内の携帯電話産業は、いつしか国際競争力を失い、孤立化しているように見える。そこに入ってくる世界を席巻したiPhoneが、幕末の黒船襲来にたとえられるのは面白い話ではある。さしずめドコモがかつての威光を失った江戸幕府で、ソフトバンクが外国の大砲iPhoneの力を借りて幕府転覆を狙う薩摩か長州といったところか。同時にAppleも日本市場の植民地化を狙っているかもしれない。


 戦々恐々としているのは、シェアが頭打ちの国内に9社もひしめき合っている携帯電話機器メーカーである。そこでiPhoneに機器のシェアを食われたら、この分野の再編、淘汰は避けられないとの見通しである。液晶テレビの市場のように撤退、吸収も起きて寡占化が進むことになるだろう。


 それに対して幕府であるドコモは、先日のロゴ変更などに加え、いまだにブランドの意味がわかっていないようである。「ドコモにはプラダフォンがある」「タッチパネルは各社が採用してきている」「でもiPhoneはあきらめていない」など、iPhoneへの負け惜しみか未練タラタラのようである。「プラダフォン?なにそれ?」「別にタッチパネルだけがほしいわけじゃない」「プライドが高すぎたのではないの?」と言われそうである。ちなみに自分は、キャリアを変えるのが面倒くさい、ずっと消極的なドコモユーザである。携帯をドコモにしてあまりいい思いをしたことがないが、今回のiPhone獲得失敗にもかなりガッカリした。


 「日本ではiPhoneはそれほどシェアが伸びないのではないか」という期待?も、PCやiPodの歴史を見れば甘いのではないかと思わざるをえない。それはiPhoneというより、ソフトバンクのマーケティングの失敗に期待するということでしかないだろう。Vodafoneを買収した当初からみれば、採算はわからないがソフトバンクの戦略は当たり続けているように見える。ドコモもauも防戦一方のようである。


 「iPhoneは若い人にしか受けないのではないか」という見方も甘いだろう。若い世代を抑えられれば、近い将来も抑えられるということになる。たとえば現在は、青少年への携帯電話の規制が押し付けられそうな世の中である。ならばそれを逆手に取って、ネットはある程度制限がかかっているが音楽やゲームだとか、青少年向けに受けそうな機種とサービスを加えたもので、iPhoneをブランドとして流行らせるという可能性はあるだろう。ディズニー携帯に似たようなものである。大人には、子供の間では何が流行るかわからないものである。


 ところで国内では、CMで有名な「インターフォンのアイホン」と呼び名が混同しそうである。商標登録上はこちらは「AIPHONE」だそうである。カタカナで、AIPHONE=アイホンiPhone=アイフォーンと区別するということで落ちついたそうだが、それでも発音上は紛らわしいことは確実である。どうせならCMで「お出かけにはiPhone、お留守にはアイホン」とやるとか。もっとも世間的にも紛らわしくなるとしたら、それはそれだけiPhoneが普及したときとも言えるだろう。