Windows XPへのダウングレード権

 個人的には、もはやWindowsの動向には興味はないし、あまり考えたくもないのだが、現実には自分ばかりでなく周囲も仕事上でもWindowsやOfficeには関わらざるをえないため、結局は必要上知っておかなければならないことになる。Windows XPについての先行きについてもそうで、今後の導入、入れ替えや乗換えに関係してくる問題だからである。 
 Microsoftは、すでにWindows XPのサポートをを2014年までは続けることは表明していたが、では新規販売はどうなのかは不透明であった。それが、販売はしないがXPへのダウングレード権として認めるということが正式の形になったようである。

Windows XPはダウングレード権で存続―MSは正しい選択を..(ITmedia)

もともとEee PCに始まるミニノートPC市場に参入したいがために、Vistaでは重過ぎるのでXP Home EditionをミニノートPC向けに安く提供するということから、話はややこしくなった。Vista普及のためにも、すでに今年6月末をもってXPの販売は終了することが決まっていたからである。例外的にXP Home EditionだけはOEMのプリインストールの形とはいえ、販売を継続することになったからである。


 ところがここにHPやDellなどの大手PCメーカーも参入してくると、ミニノートPC向けにXP Professionalの販売も要求することになる。Vista移行を推進したいMicrosoftとしては当然難色を示す。そこで妥協案として、PCメーカー側から提案されたのがダウングレード権という苦し紛れの策なのだろう。つまりユーザが買うのは、建前上はあくまでVistaなのであって、購入者は無償のオプションとして古いXP Professionalも使うことができる。ユーザのハードやソフトの準備が整うまでは、安心して?XPを使ってもらい、準備が整い次第、満を持して?Vistaに移行していただく、ということになったらしい。もともとリソースが少ないミニノートPCに準備も何もないはずである。本来はLinuxを使えばよいだけの話なのであり、その方がミニノートPCのコンセプトにも合っている。


 日本HPのVista搭載のミニノートPCの販売時期が延期になったのも正にこれが理由だろう。やっとここにきて、しぶしぶMicrosoftVistaのダウングレード権という形で、実質的にXP Professionalの販売延長を認めることを公式に発表したことになったからだ。日本HPではトラブルを避けるために、この発表がなされるまで販売を延期したということかもしれない。


 記事の引用は忘れたが、もはやVistaの失敗は「事故」ということで片付けられているようである。その事故から立ち直るために、MicrosoftはXPへのダウングレード権の行使だとか、新しいWindows 7の話題だとかをふりまいて、必死に取り繕っているようでもある。しかしダウングレード権とは何度聞いても滑稽な言葉である。