iPhoneはソフトバンクの広告塔に

 iPhoneの国内販売の権利を獲得したソフトバンクの社長がiPhoneについて語っている。これを見るに、ソフトバンクはまんまとiPhoneを広告塔として獲得できたと思わせられる。いわく携帯電話のインターネットマシン元年であるという。

「iPhoneがモバイルインターネットの世界を牽引する」(CNET Japan)
AT&T、iPhoneデータプランを値上げ--月額30ドルに(6.10)

 AppleiPhoneの販売の交渉にあたって、通信料の上納金まで要求していたのではないかという憶測もある。さすがにドコモはそれには難色を示しているうちに、ソフトバンクはあっさりその条件を飲んでしまった可能性がある。それによって、国内での権利はソフトバンクに行ってしまった。世界の中でも国内で3位の通信会社に行くことは異例だという。アメリカでさえも、AT&Tが権利を獲得し、月額利用料金の一部をAppleに支払っているというほどだからである。ドコモにとっては、後の祭りということになった。


 もともとiPhoneが登場して話題になった頃、「日本ではどこから出すのだろうか。まさかソフトバンクだったりして」という冗談を言っていたつもりだったのだが、それが現実になってしまった。それも現時点で1人あたりの通信料金が最も少ないソフトバンクである。
 普通に考えれば、目先の利益だけを見れば、とてもペイするとは思えない。しかしもともとソフトバンクが、莫大な資金を投入してVodafoneから国内の携帯キャリアを買収したことを考えれば、まだその投資の段階が続いていると考えられる。今は大赤字覚悟で将来性の高い携帯に投資をしてシェアを拡大し、そのコストは長期的に回収していくという戦略なのだろう。それが最終的に成功するかどうかはわからないが、iPhoneという大きな広告塔を得たことだけは確かだろう。


 もともとソフトバンクといえば、アスキーに次ぐPC雑誌の出版社のイメージだったが、それがYahoo!になりYahoo!BBになり、携帯になり、ソフトバンクスホークスになり、それが今度はiPhoneになりそうである。