ビルゲイツ本人がマイクロソフトに苦情

 Microsoftの会長職から正式に引退したビル・ゲイツだが、その本人がMicrosftに苦情を言っていたというエピソードが明らかにされている。よく作られたネタではないかという見方もできるが、若い頃のビル・ゲイツを知っていれば、特に不思議なことではない。問題は苦情を受け取ったMicrosoftの開発スタッフがどう捉えているかであるような気もする。

ビルゲイツ本人がマイクロソフトに苦情...(technobahn)

 2003年のMovieMakerの話ということだが、実は自分も同じ頃(2004年)に全く同様のことを経験したことがあるので、いつもMirosoftの批判ばかりをする自分も、この点だけではゲイツに親しみを感じてしまう。


 詳しいことは忘れたが、この時期には日本版でもムービーメーカー2が出ていた。自分の関係する先でこれを利用しようと考えた。フリーであるにもかかわらず、マイクロソフトのサイトを探しても見当たらない。いろいろ調べてみたら、なんと日本版はXP Service Pack 2(SP2)の中に同梱されているという。ところが当時はSP2に関しては動作が懐疑的で、導入は様子見している組織が多かった。当地もそうで、ムービーメーカー2のために勝手にSP2を導入するわけにもいかない。そこで考え付いたのが、日本版でなく英語版なら、SP2にバンドルさえていないだろうということである。Microsftの英語サイトであれこれ探して、Moviemakerは探し出すことができた。ところがそれだけではだめで、やはりWindows Media 9シリーズが必要だった。当時はWinodwsのデフォルトでは、Windows Media Playerもバージョンが8だった。それとMedia Encoderも必要になる。結局、ダウンロードはなんとかしたもののインストールできずに時間切れに終わった。Microsoftフリーソフトを使えるようにするには、なんと関門の多いことかと思い知らされたものである。


 動画を扱うための前段階でこうなのだから、この後の動画への関心がポッと出のYouTubeにあっという間に移っていったのも、さもありなんという気がする。それ以前はRealやMPEGはどうかとか、仕方がないからWMVにするかと考えていた頃だった。しかし、この時点で動画の標準はWMVと考える興味はなくなったWindowsでしか扱えない動画形式がネットの主流にはなりえないと思えたのである。


 ゲイツといえば、メールの初期の頃は午前中には社員からの100通あまりのメールに目を通し、それぞれに指示を送っているなどと、当時のテレビで紹介されていた。開発者との打ち合わせのときも、必ずガンガン注文をつけていたそうである。Windows NT以前はWindowsのコードの1行1行すら、すべて把握していたといわれる。それ以後はMicrosoftの宣伝マンに徹していって、現在に至ったようである。


 このMoviemakerの話が真実だったとしても、社員とのやりとりで、それよりももっとシリアスな話はいっぱいあったはずであるから、特別な話とは思えない。問題はゲイツが文句をつけても、Microsoftのソフトウェアはユーザに支持されるように改善されていったのかということであろう。ソフトウェアの評判の悪さは、ユーザのゲイツへの恨み節になる。「ゲイツ自身もWindowsの批判をした」という切り口の話にするから、ネタのようになるのだろう。ゲイツ引退の時期に合わせるように、ネットの時代においては、Microsoftの姿勢は曲がり角にさしかかっているように見える。Microsoftのソフトウェアに対する姿勢というか体質は、もはやゲイツがいてもいなくても、Vistaを見る限りでは、悪い意味で変わることはなさそうである。