iPhone 3G 3日で100万台突破

 国内ではマスコミでも大きく取り上げられたiPhone 3Gが同時期に発売の世界21カ国で、3日間で早くも販売台数が100万台を突破したという。これが世界の流れであり、日本もやっとその流れに乗ることができたということである。
 不満や疑問があるとすれば、またしても日本発の技術ではなかったこと、アメリカが携帯キャリアのトップのAT&Tから売り出しているのに、なぜ日本は3位のソフトバンクなのかということである。ソフトバンクの成功というべきか、ドコモの失敗とみるべきなのかなど、人によって今回のiPhoneについての話題は多種多様である。しかしこれだけは言える。話題をさらった方が勝ちなのである。

iPhone、早くも100万台突破--世界発売3日間で(CNET Japan)
「iPhoneが欲しくない」と言えない(ITmedia)

 iPhoneなんて携帯電話の機能からすれば全然ダメで、こんなものを欲しがるのは一部のMacユーザだけ、という冷ややかな見方さえある。しかしブームや潮流という点では、こんなことは沢山あった。かつて国産仕様ともいえたNEC PC-98が独占状態だったとき、国際仕様といえるIBM互換機がCompaqによるブームとして日本市場に参入する。当初は使い慣れた国産のPC-98の方が良いと思っていても、数年のうちにシェアは逆転しまった。かつてのパソコン通信とインターネット登場の初期の頃にも、インターネットは国内コンテンツが少ないし、パソコン通信の方が充実している、などというまじめな議論さえあったが、あっというまにWebページやら掲示板に取って代わられることになった。今から見れば、当時の識者の議論が笑い話にすらなる。iPhoneもそうなる可能性が高いということである。


 携帯側の世界からみれば、現状では確かにiPhoneと既存の携帯は、かつてのインターネットとパソコン通信のような関係かもしれない。個々の機能をみれば、既存の携帯の方が慣れていて使いやすいと思えるかもしれない。しかしiPhoneの方が何か、既存の携帯にはない未来を予感させるものがあるのである。その予感のようなものが3日で100万人もの人の心を揺さぶっている結果ともいえるだろう。別にタッチパネルだから感動しているわけではない。


 その1つが現状の携帯の「電話」としての常識である。PCやネット側から見れば、携帯なんて未だに従量制ダイヤルアップの時代である。特に料金体系である。パケットの従量制がまかり通るのは、電話の1分10円という世界と同じである。とてもネットの世界に適合しているとは思えない。それを常識だとか、使いやすいと思える感覚から破壊する必要があるのではないかと思う。携帯だけでなくインターネットのまた新しい時代と見られる点もここにある。


 iPhoneはコンセプトからPCやネットに近づいた。これが進化することによって、特に高かった携帯の通信料体系が常時接続のブロードバンドの料金体系の時代に変化することになるだろう。そこで初めて携帯のテレビ電話?や動画といったものも現実的なものになり、多くのサービスも可能になるだろう。電話という概念が完全に変わることにもなるだろう。「iPhoneだと絵文字が使えない」などという話を聞くと、インターネット初期の頃のパソコン通信の方が充実しているという話を連想してしまう。当初は荒削りのものであっても、多くの人の関心を呼んでブームになったものは、あっというまに進化して、技術的にも洗練されたものに変貌していくことが多い。今のiPhoneは、まさにそういう段階にさしかかってきたということだろう。