USBメモリでソフト販売

 まあ、そうだよなと思える、有料ソフトウェアのCD-ROMに代わるUSBメモリによる販売を、ユニークなソフトウェアで知られるソースネクストが行う。もはやソフトウェア配布の目的にCD-ROM/DVD-ROMの時代でもなくなりそうである。

ソースネクスト、USBメモリでソフト販売 CD-ROMは廃止へ(ITmedia)

 現状ではソフトウェアの配布はCD-ROM/DVD-ROMとダウンロードがあるが、これにUSBメモリが加わる。ただしCD-ROM/DVD-ROMによる販売・配布はいずれ廃止されることになりそうだという。理由はいろいろあるだろうが、そもそもノートPCなどでは内蔵DVD-ROMドライブなどが付いていないので、急にインストールの必要がある際など、ユーザに面倒な意識を持たせる。現在のPCならば、デスクトップ型、ノート型問わず、USBメモリは本体に挿入するだけで使える、文字通りユニバーサルな利用ができる。
 フリーソフトなとのようにダウンロードだけとするには、有料ソフトの場合には決済が必要となり、ユーザ、メーカーともに面倒なことになる。


 CD-ROMだと700MBの上限があり、ユーザが書き換えたり再利用はできないが、USBメモリだとすでに1GB超のものが普通になっており、書き換え再利用もできる。またCD-ROMの円盤よりも扱いはコンパクトに行うことができる。またCD-ROMよりは読み出しが高速である。あえて言えば紛失の恐れもあるが、CD-ROMとて同じようなものである。


 気になったのは価格である。今回は1GBのUSBメモリで販売するそうだが、USBメモリ自体のコスト分はどうなるのだろうか。CD-ROMとダウンロード販売と同一の価格だそうである。おそらくCD-ROM1枚当たりの原価は10円未満、1GBのUSBメモリは1000円未満くらいだとは思うが、どこでその差額を吸収させるのだろうか。ソフトウェアの価格にもよるが、仮にUSBメモリタイプのものが500円くらい割り増しだったとしても、USBメモリで購入するかもしれない。また700MBを超えるソフトウェア+コンテンツなどの販売にはDVD-ROMに代わり、2GB以上のUSBメモリでの販売が行われるようになるかもしれない。


 オフラインメディアとしてのDVD-ROM/CD-ROMの用途は、バックアップや譲渡とか著作権絡みの映像コンテンツなど、今後ますます狭いものになっていくだろう。ソフトウェアにも著作権はあるが、メディアそのものにコピープロテクトをかけるほどではない。それどころかオープンソースソフトウェアの方が主流になっていることから、ソフトウェアのライセンスそのものを売るというよりは、サポートを有料にするという発想に代わってしまっている。フリーソフトウェアはダウンロードが主流になっていると言ってもよいだろう。


 ただソフトウェアの場合、特にOSではブート可能かどうかが問題になることがある。昔はFDブートだったことから、最初のブートだけのためにFDを必要とした。最近ではよほど古いPCを使うことがなければブート用FDも必要なくなったし、ツールも見かけなくなった。それに代わり、CD-ROMないしはDVD-ROMブートが必要になるときがある。雑誌の付録にDVDが付いていてもCD-ROMドライブしかない場合には、CDのイメージをわざわざ焼いてブートさせることになる。これはまだ必要である。同様のことがDVD-ROMに代わってUSBメモリでできればよいのだが、今度は古いPCだと、BIOSUSBメモリブートに対応していない。またUSBメモリブート可能にするような書き込みをしてくれるツールの提供もまちまちだったりする。


 そういうわけで急激にPCへのUSBメモリの普及は進み、CD-ROM/DVD-ROMも少なくともソフトウェアの世界では廃れることになりそうである。もっともこれはFD以来、ZIP、MO、SuperDisk、テープその他のオフラインメディアが辿った道である。オフラインである限り、どんなメディアでもいずれ同様のことになるだろう。CD-ROMが普及しだした頃は、こんな大容量のメディアを使いこなすのは難しいのではないかと思えたものだが、最近は「容量」という感覚がかなり麻痺してしまっている気がする。