柔道・石井、金メダルを小川道場に寄贈

 約束どおり、北京柔道金メダリスト・石井慧小川直也主宰の小川道場に金メダルを寄贈した。小川は本当にいい「弟子」を持ったものだ。石井のそのナチュラルな言動が話題になっているが、どこがよくないのかよくわからない。他人の誹謗中傷をしているのならともかく、世界一になった実力なのだから、むしろそのくらいの個性があった方がよい

ノリノリ!石井プロレスやっちゃった/柔道 (SANSPO.COM)

基本的に石井は格闘技好きで育ったのだろう。そして10年ほど前は、小川がプロレス界に橋本真也戦で衝撃のデビューをした時でもある。石井は小学生でこのシーンをかたずを飲んで見ていたことだろう。


 実は自分は小川デビュー戦は東京ドームで生観戦していた。すでにプロレストップだった橋本の重爆キックに、対応の慣れていない小川は徐々に劣勢に立たされていた。続けてキックに来ようとする橋本に自ら飛び込んでいき、小川の一閃の大外刈りによって、120-30キロはある橋本の体が一瞬完全に水平になって浮き、次の瞬間東京ドーム中に響き渡るドドーンという音ともに、橋本の体全体がマットに叩きつけられた。ヘビー級相手にあんなに鮮やかに決まった大外刈りは見たことはなかった。小川のSTO(スペース・トルネード・オガワ:猪木命名)の誕生の瞬間だった。格闘技好きの小学生だった石井がこの瞬間に小川に憧れたとしても不思議ではないだろう。あとは推して知るべしである。かくして石井は実質的に小川のところに押しかけて弟子になったようなものである。


 そして北京五輪では、柔道男子が惨敗を続ける中、石井は最後の砦として最高の結果を出してみせた。年齢的に考えてももはや日本柔道界の至宝になったといってもよいだろう。それが朝青龍ではあるまいし、細かい言動のことでどうこう言われるのは、話題性が高いだけで全く筋違いのことだろう。柔道界は石井の発言どうこうより惨敗した他の階級の反省と対策に力を入れた方がよいだろう。石井のことは小川にまかせておけば十分である。小川自身もプロの世界では「暴走王」などと呼ばれるがきわめて真面目な性格である。反面教師ではないが、小川にはもっと精神的に破天荒な師匠ないるから精神的な部分は大丈夫である。その師匠とは猪木である。そのくらいタフな精神力を持たないと今後の世界のトップを維持するのは難しいだろう。そういう意味では、小川−石井の師弟コンビには大変期待をしている。もっと大胆なことを続けていってほしいくらいである。