しぼむPCと携帯市場

 奇しくも同じ日に国内の9月のPCの出荷状況と携帯の今年度の出荷予測が公表されている。どちらも大幅に減少しているということで、最近の経済危機の影響か、PCも携帯の市場もすでに成熟期を過ぎて飽和状態になってきたということだろうか。

9月の国内PC出荷台数前年の14.3%減--JEITA調べ (CNET Japan)
1000万台減 しぼむ携帯市場 (CNET Japan)
08年度の国内携帯電話出荷、2割減に 初の4000万台割れ(ITmedia)

 同じIT市場とはいえ、PCと携帯の傾向ではそれぞれ事情が異なるだろうが、最終的にはやはり関連付けられるものであるという気がする。
 まずPCに関してはデスクトップはすでに飽和状態にあり、ほとんどが入れ替え需要のみであるといえるかもしれない。デスクトップは減少傾向だが最近のミニノートPCの登場で、ノートPC市場を牽引し台数は増えている。すでにデスクトップPCや普通のノートPCを所有している人がセカンドマシンとして新規購入したのがほとんどであろう。

 
 PCよりも個人所有率がはるかに高いのが携帯である。キャリアは3つが中心になってしまったが、携帯機器の方は日本の狭いパイの中でメーカーがしのぎを削っているが、それでも今年度は1000万台の減少になりそうだという。大人には携帯電話は行き渡り、新規契約を期待するとすれば小学生か中学生しかなくなっているのかもしれない。あとは機種変更の買い替え需要だが、2年間の縛り契約のために自ら首を絞める結果となっている。国際的な携帯の孤立化と同じく、目先の利益追求の結果が今現れてきたのかもしれない。PCがハードウェアで儲からなくなって久しいが、携帯もすでにそうした段階に入ってしまったということだろうか。


 とはいえ、家電製品と同じく、PCや携帯が必要ではなくなるということではないから、これからは長期的な買い替え需要に対応していくしかないのだろう。そのとき携帯に関しては、世界に孤立化しているようなモノ、サービスばかりを行っていてはだめだろう。そして同じネットに参加するのに携帯だけ特殊な料金体系では、決して進歩しない。なぜ世界ではiPhoneが受け入れられたか、それを追ってなぜGPhoneが出てこようとしてしているか、国内の携帯市場はとらえる必要があるように思う。