Yahoo!とYahoo!Japanの今後

 米Yahoo!の業績低下とともに10%のレイオフまで発表されたばかりだが、一方でYahoo!Japanは世界的な景気悪化の影響にも拘わらず、なんとか増収増益を達成しているようだ。日米Yahoo!の差と今後の展開はどうなっていくことだろうか。

ヤフー中間決算、増収増益も今後は景気悪化の影響を懸念 (INTERNET Watch)
米Yahoo!決算は64%の減益、従業員の10%削減を発表 (ITmedia 10.22)

まず米Yahoo!だが、米の景気悪化の影響で広告収入を減らしたのが最大の原因のようではあるが、こうなってみるとあのときMicrosoftの買収提案を受け入れていたらと、経済関係者は考えるのではないだろうか。少なくとも投資家にとっては、今年前半の最大の景気浮揚の材料となっていたはずであろうと。ひょっとしたらリーマンブラザーズの破綻もなくなっていたかもしれないと。それはともかく、Yahoo!にとってはMicrosoftからの防衛策ばかりで、何も良い材料もなかったことも確かである。


 すでにGoogleとの差は決定的になっており、検索広告でGoogleとの提携話もあるが独占禁止法抵触の調査に引っかかっており遅々として進んでいないようである。そのうちに広告面での赤字決算が表に出てしまったということだろう。もともとMicrosoftの買収からの防衛策として進められたものだが、提携話を進めるだけでもやはりGoogle軍門に下ったような印象である。


 サービス面でいうと、Yahoo!JapanのIDは必ずしも国際的なサービスに使えるものではないので、yahoo.comのIDで米Yahooのサービスを直接使うこともあるのだが、Googleなどに比べてメニューが細かすぎて使いにくいと感じることもある。写真共有サイトのFlickrなどのOpenIDとして、他のサイトの複数のサービスも使うこともできるのだが、2重ログインのような状態になって、どこで初めにログインすべきなのかよくわからなくなったりする。サービスそのものは好みもあるから一概には言えないが、確かにあまりWeb2.0の先端を行っているような気はしない。なんとなく頭打ちの感がしないでもない。Googleはインターフェースはシンプルだが背景では洗練された技術があると感じられるのである。


 さて一方のYahoo!Japanであるが、完全に米Yahoo!とは独自路線を歩んでいるように思える。いまだに日本国内ではYahoo!Japanの人気がGoogleをわずかながら上回っている。そもそも米Yahoo!のIDとYahoo!JapanのIDは共通して使えない。国の事情による違いもあるのかもしれないが、日本独自のサービスを受けるためにはYahoo!JapanのIDが必要である。そして日本で成功しているYahoo!オークションYahoo!ショッピングなどは、Yahoo!のシステムというよりは、独自のコンテンツで成功しているものと思える。それだけに仮に米Yahoo!Microsoftに買収されていても、Yahoo!Japanへの影響は小さかったかもしれない。


 極端に見れば、これはかつての米セブンイレブンセブンイレブン・ジャパンの関係を思い起こさせる。子会社だったはずのセブンイレブン・ジャパンの方が日本で成功し、本家を上回ってしまった。日本と日本人の文化をうまく取り入れ、今や「コンビニ」という言葉の代名詞になるだけ生活に定着してしまった。この先、米Yahoo!がさらに落ち込んだとしてもYahoo!Japanは堅実な業績を挙げ続けるかもしれない。そうなるとき、日本発の新しいサービスでyahoo.comのサービスも取り込むようなものが出てくることを期待したいものである。