オバマ新大統領が誕生

 蓋を開けてみれば、オバマ氏の圧勝だったようだ。長かった米民主党大統領候補選挙に比べれば、風は完全にオバマ氏に吹いたようだ。それも最近の米国に始まる金融危機とも無関係ではあるまい。現状の閉塞感のある現状の脱却に、より若いオバマ氏への期待として現れた結果だったのだろう。

米大統領にオバマ氏、黒人で初…民主8年ぶりに政権奪回 (YOMIURI ONLINE)
オバマ氏、地滑り的圧勝…米史上初の黒人大統領誕生 (ZAKZAK)

 むしろ景気もよく余裕のある時代だったら、人種問題などの方がクローズアップされて黒人初の米大統領誕生は難しかったかもしれない。今はそれどころではない、未来に希望を託せる人となったのだろう。最後まで争ったヒラリー・クリントンも支持に回って動いたことも少ながらす影響を与えたようだ。


 同じ共和党ということもあるが、やはり年配で軍出身のマケイン氏ではどうしてもブッシュ大統領の政策の踏襲としか見られなかったことも、本来共和党支持が大きい州でもオバマ氏が勝利する要因になったようである。
 それだけブッシュ政権になってからは、よいことが何もなかった。大統領就任早々にニューヨークテロ事件に始まり、アフガン戦争、イラク戦争と突入して行った。政権末期になっても泥沼化から抜け出せず、最後は自国発の金融危機となって終わることになった。


 オバマ氏のキャッチフレーズになっている"Change"を含めた演説は、きわめて解りやすい英語であり、人々を惹きつけるものであるようだ。日本でいえば中味が感じられない「改革、改革」だが、米国は大統領が劇的に代わること自体が、本当に今の状況が変わることを期待させるものであるようだ。


 加えて民主党の大統領候補選のときからそうだったが、いち早くYouTubeを取り入れるなどインターネットを積極的に活用した選挙戦で勝利したことも見逃せないことである。民主党といえばブッシュ大統領に僅差で敗れたクリントン政権時代のゴア副大統領が大統領になっていれば、あるいは歴史も変わっていたかもしれない。情報スーパーハイウェイ構想を提唱するなど、まさにインターネット時代を予見していた人だったからである。とにかくITでも有益と思えるものを積極的に取り入れるという姿勢はいかにも米国的らしい。日本では批判と規制のことばかりである。オバマ政権になって米国が再びそのITの熱気を取り戻すことになるかどうかである。日本もやはり「改革」ではなく、"Change"を期待したいところだが先行きは見えないようである。