パナソニックが三洋子会社化へ

 あまり関心はないのだが、とうとうパナソニックが三洋を子会社にすることになった。というよりは、昔の名前で松下電器三洋電機を吸収合併したというイメージの方が強い。家電業界の不況を考えれば当然という気もしないでもないが、歴史的には元の鞘に収まったということらしい。

「厳しい時こそ大きな手を打つ」─パナソニックが三洋子会社化へ..(ITmedia)
元のさやに収まるか─パナソニックと三洋、2社を分けた「世襲」

 意外なことは、松下幸之助三洋電機の創業者・井植歳男は身内だったということである。戦後、袂を分かつざるをえなくって、自ら創業したのが三洋電機であり、家電業界ではライバルともなったということだったらしい。ソニーやホンダにもそれぞれ創業者のエピソードがあるが、三洋電機もそうだったのだろう。戦後という時代のなせる業ともいえるだろう。何の世界でも初代は偉大だが、2世、3世となると、どんどんスケールが小さくなっていく。二代目で傾き、「三代目は身代潰す」と言われるゆえんである。実際、日本の世の中は至る分野で実質的に世襲が進んでいると思うのだが、伝統芸能のようなものはいざ知らず、それで躍進したという話は聞いた試しがない。ご安泰なのは政治家くらいなものだろうが、それを頂いている国民はたまったものではない。


 ビジネスの世界でのトップは世襲は中小企業と同じで、ご法度みたいなものだろう。世襲を固辞した本田宗一郎には、いかに先見の明があったかということかもしれない。世襲だけが原因でもないだろうが、身代が傾けば世間は必ずそう見ることになるだろう。かくして三洋電機も創業者一族が退いて、もともと創業者が共同経営した松下電器に戻ったような形になった。


 個々の技術の進歩は著しいが、家電関連は地デジ移行で一時的需要は見込めるかもしれないが、長期的には厳しい状況が続くことに変わりはないだろう。秋葉原の状況を見れば一目瞭然である。もはや「三種の神器」と言われるような大規模な需要が見込める時代が来るとは思えない。PCや携帯も含めて、社会とか環境分野にうまく適合させた需要をきめ細かく追求していくしかないのかもしれない。