東京ヴェルディが再度のJ2降格

 歴史の長いプロ野球も、かつてのような人気はなくなり、テレビ視聴率も低迷している。それに比べて歴史が15年くらいのサッカーJリーグも、ここに来て転換点を迎えているようである。Jリーグ初期の頃、人気、実力ともに抜群だったヴェルディがまさかの再度J2への降格と、何と身売り話まで出ているのだという。人気低迷か、金融危機の影響がプロスポーツの運営にまでダイレクトに響いてきたということだろうか。

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 ヴェルディといえばヴェルディ川崎時代には、カズ、ラモス、武田らのスター選手を揃え、サッカーを知らない人にも知名度があった。ドーハの悲劇といわれた時の日本代表メンバーもヴェルディの選手が中心だったはずだから、より有名だったといえる。Jリーグ発足時はカズがマスコミにも最も取り上げられ、その生い立ちを含めて、最もJリーグの宣伝に貢献しただろう。自分は特にラモスの動きを見て感心したもので、サッカーではなぜMFが司令塔と呼ばれて重要なポジションかというのが、わかったような気がした。


 しかしカズが去り、ラモスも引退してヴェルディの次世代に栄光が引き継がれることはなかったようだ。讀賣グループからすれば、ヴェルディサッカーの「巨人」になれるはずだったのが、讀賣新聞が撤退し、事実上日本テレビのバックだけで運営することになった。その結果、年俸の高いスター選手はいなくなり、チーム力も低迷して、とうとうまさかのJ1からの降格となる。そしてラモスを監督に迎えてから、3年目にしてJ1復帰を実現する。しかしチーム強化も資金次第ということで、讀賣新聞もバックにいたかつての時代のようなわけにもいかず、今回再びJ2への逆戻りの降格となってしまった。まさに「ジョウダンジャナイヨ」の状況である。


 その最終戦を待たずして、主力を含む11人もの選手の大量解雇を発表している。ただでさえ戦力が落ちているところに、最後のモチベーションを奪うトドメをチーム自ら刺したようなものである。来季は再び無名選手ばかりになってしまうか、ヴェルディ自体が身売りするという情報まであるそうである。


 ここまで追い込まれたのも金融危機と無関係ではないらしい。視聴率の低下と急激な経済状況の悪化による大手スポンサー減少などによるCM広告収入の減少で、日本テレビが赤字に転落したからだという。背に腹は変えられないというわけだが、それでもJ1に残留していれば、スポンサーとの交渉もやりやすかったかもしれなかったが、最悪の再度のJ2降格という事態である。もともとJ1とJ2のボーダーを行ったり来たりするチームもあるが、ヴェルディに関してはあまりにも衰退ぶりが顕著である。


 Jリーグはマーケットの大きさ以上に、チーム数ばかりが増えたような気がする。ウェルディばかりでなく、この経済状況になってくると下手をするとJリーグそのものが衰退しかねない。ホンダもF1から撤退を発表するなど、不況下になると真っ先に切られるのが金がかかるプロスポーツや社会人クラブのようである。あらゆる分野での企業のスポンサーからの撤退が相次いでいる。庶民にとっては自分の雇用がまず第一だが、自分の生活が苦しいときでも励みとする夢を与え続けたのがプロスポーツであったはずである。今の時代ではその価値も失われてきているのかもしれない。