Sun が OpenSolaris 2008.11 を公開

 SunがSolaris 10をオープンソ−ス化したときはそれなりに衝撃的だったが、それから何年かたってみても、やや遅きに失した感が否めない。エンタープライズ市場はともかく、ネットの主流を形成しているのはオープンソース市場であり、SaaSなどのベースもLinuxである。むしろOpenSolarisになって、SolarisLinux化が進んでいるといえるのだろうか。

サン、最新版「OpenSolaris 2008.11」を公開 (CNET Japan)
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 ワークステーション時代にはSun OSやSolarisはある意味、憧れの対象であった。エンタープライズ市場(お金持ち対象)ならばSolarisOracleの組み合わせ、中小企業や個人対象ではLinuxMySQL(PostgreSQL)という色分けがあったが、オープンソースLinuxが主流になってくるにつれて、これらの色分けもあいまいになってきた。OracleにしろSunにしろ、オープンソース市場に流れた多くの顧客を引き込みたい。初めにOracleがExpress版でフリーのデータベースを公開したときが最も衝撃で、同じようにIBM DB/2やMicrosoft SQL Serverもフリー版が出て、あっという間にデータベースはフリーでも可能な状況が生まれた。


 これに慌てたというわけでもないだろうが、今度はSolarisの無償版が公開されたのが2005年の初頭だった。特にSparc版より、x86版が注目の的であった。そもそもSparc版のワークステーションを買える人は初めから無償版を期待してはいないわけで、これまで価格的にSoalrisを買えない人(自分もそうだが)が飛びついたものだろう。自分も真っ先にダウンロードしてCDに焼き、チープな組み立てマシンにSolaris 10 x86版をインストールしたものだった。案の定、グラフィカルなインストールはハードウェアが対応せずにできなかったが、テキストインストールでサーバー的なインストールは十分できた。思い入れ的なものもあったが、当時のまだFedoraなどが不安定なことからすれば、Solarisの方が安定しているように思えたものである。こちらの方が元祖UNIXに近いものだろうというわけである。そしてついにPCでSolarisを使えるようになったのだな、という感慨である。


 こうしてSolarisOracleという組み合わせがエンタープライズのものから崩れだしてきたように思える。そしてさらに衝撃だったのが、今年早々のSunによるMySQLの買収である。これはOpenSolarisMySQLの組み合わせでオープンソース市場に食いこもうとする意図に見えた。

 しかし一方でワークステーション市場の衰退か、Sunの赤字は慢性的なようで、何度もレイオフをして事業も縮小しているように見える。オープンソース市場で光明を見い出だせなければ、もはやSunも過去の企業となってしまうだろう。そんな中での新版のOpenSolarisの投入である。方向性はやはり仮想化とクラウドへの対応であろう。Sunのクラウドとして、OpenSolarisをベースとしてデータベースも自由に使えて、大量のリソースを使えるアプリケーションが実現できるようなサービスは可能になるのだろうか。