Google新聞広告事業から撤退

 金融危機の影響から、いくつものサービスの打ち切りを発表しているGoogleが、今度は新聞広告事業からの撤退を決めた。オンライン広告のGoogleが新聞広告事業とは意外だが、Googleが新聞の広告スペースを、自らのオンライン広告主に売り込むというものだったらしい。新聞もオンライン化している中で逆行しているような事業だが、既存メディアである新聞との共存共栄を図ったものといえるかもしれない。

米グーグル、新聞広告事業から撤退 利用者伸びず(MSN産経ニュース)
グーグル、新聞広告サービス「Google Print Ads」の打ち切りを決定(CNET Japan)
米Google、新聞広告サービス「Print Ads」から撤退(INTERNET Watch)

 金融危機による景気後退により、企業の広告費の削減が余儀なくされたとはいえ、やはり既存メディアとの結びつきは難しいものと思わざるをえない。いったんオンライン広告に手を出した広告主が、それより高額で固定費用であろう新聞広告に改めて出そうとするであろうか。早々とGoogleはその可能性の少なさの決断を下したように見える。


 米国の新聞事情と、各家庭に配達される日本のそれとではまた異なるものだろう。米国の方が、より新聞は地域に限定されているという。特定の地域の消費者向けの広告をオンライン広告主から募ったが、なかなか集まらかったということらしい。日本でいえば、新聞に挟まっているチラシ広告のようなものだろう。日本の新聞も購読料よりも、実はこうした広告の収入で新聞は成り立っているといわれる。Googleがオンラインで広告の仲介をやって新聞への広告を増やし、自らはその手数料を広く薄く取ることができれば、共存共栄を図れるという目論見だったのだろう。


 やはり新聞など紙メディア事業の形態がそのままで、Googleのネットビジネスと単純に結びつくというものではなさそうだ。紙メディア側がネット時代に対応しきれていないことから、このまま衰退を見るしかないのか、またGoogleもなかなか検索広告以外のネットビジネスの収益構造を見い出せないでいる。厳しい経済状況化だからこそ、そのブレークスルーとなるような新しいビジネスモデルの出現が求められているかもしれない。