オバマ政権とホワイトハウスのIT環境

 オバマ新大統領の就任式のストリーミング中継を実現させた政権スタッフがホワイトハウス入りした。そこは意外にも不自由なIT環境か、遅れたIT環境だったといえるのだろうか。厳格なセキュリティがあるのは当然だが、オバマ陣営はITを駆使して大統領の座を射止めたともいえるだけに、IT環境とセキュリティの二律背反の問題を考える上では、教訓的な話といえるのかもしれない。

オバマ政権スタッフ、ホワイトハウスのIT環境に不満
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 政権スタッフがホワイトハウスに入って驚いたのはIT環境が古めかしくなっていること、セキュリティのために外部との接続が自由にできないということのようだ。IT環境はおそらく2000年代前半のままのようで、ブッシュ政権が2001年からだったから発足当時とあまり変わってこなかったようだ。つまり旧態依然としたままの体制で、IT環境も続けてきたのだろう。もし、クリントン政権の後が、ブッシュではなくゴア大統領になっていれば、また違ったことになっていたかもしれない。テロの影響がこんなところにも現れていたのかもしれない。


 そしてホワイトハウスと外部からの接続である。これだけネットが普及している時代に、ホワイトハウスだけが外部から孤立しているような形もなんとなく不自然に思える。スタッフにとってはメールやSNSで外部の支援者との自由な連絡が取りにくくなるのが、時代に逆行したような状況になるようである。Facebookなどによる支援者との人脈作りも当たり前のように行われていたようだ。とはいえ、確かにYahoo!Googleの一般サービスをホワイトハウスの中からIDやメールアドレスで自由にできてしまうのも、スパイでないにしろ情報流出の可能性を考えれば、簡単にはいかない話になるだろう。大統領個人の通信というものも法律で縛られるようで、オバマ大統領自身愛用のBlackBerry携帯も取り上げられる寸前だったという。まさにネットの内部と外部の問題が、ホワイトハウスと外部の問題として厳格なセキュリティと法律も関係しながら際立っているようである。


 オバマ政権のスタッフは、スピーチライターが27歳に象徴されているように若い人材が多そうで、これを機会に前政権時代の慣習をリニューアルして、ホワイトハウス独自のIT化とセキュリティの体制も進みそうだ。とかく黒人初の大統領、その演説のうまさばかりが注目されているが、実はオバマ大統領を縁の下で支えてきた力はITだということが明らかになってきている。大統領自身が携帯電話のヘビーユーザだったということにも窺われる。ゴア元副大統領と同じ民主党に政権が戻っただけに、経済政策とともに今後のIT政策がどう打ち出されていくかも注目の的である。