Microsoft、Google、IBMの決算と先行き

 大企業の不況の影響が次々に話題になっているが、IT業界も例外ではない。その代表格のMicrosoftGoogleでさえも暮れの決算では純利益を減少させているという。これらのことから、先の見通しはどうなってくるだろうか。

Microsoft、5000人削減―10〜12月期の純利益11%減を受け(ITmedia)
Google決算は売上高18%増、純利益68%減
米Googleの第4四半期決算、純利益が前年同期比68%減に(INTERNET Watch)
IBM、第4四半期決算を発表--市場予測を上回る結果で株価上昇(CNET Japan)

 同じITとはいえ、MicrosoftGoogleではだいぶビジネスの形態が異なるから、今後も少しずつ変わってくるだろう。MicrosoftWindowsにしろOfficeにしろ、クライアントになるPCの台数そのものの売り上げが落ちていることが、そのままソフトの売り上げの低下に響いている。Microsoft自体がPCを製造、販売しているわけではないからどうしようもないとはいえるが、こうなってみると、やはりVistaがXPよりもかなりスペックの高いハードウェアを要求することが痛い。唯一好調なネットブックのOSに無理やりXPを入れるのにライセンス料を低く設定せざるをえなかったために、あまりネットブックのOSからの利益は出ていないようである。といってWindows 7ネットブックに搭載するときにはライセンス料を上げられては堪ったものではない。また売り上げとしては、サーバー関係の方が伸びているという。現実はまだまだWindowsサーバーを導入する企業が多いということだろうか。


 Googleの方は売り上げが伸びているのに純利益は減少しているという、株価の低迷の不況ならでは状態のようである。広告やAdSenseによる収入はそれでも伸びているという。また米国以外からの収入も5割に達しているという。米国が不況でも、世界中トータルにすれば、それでもまだ金融危機のリスクの影響は緩和されるということか。Googleの広告事業ビジネスが不況の影響ばかりでなく、そろそろ頭打ちになってくるかどうかは微妙なところである。


 2009年の展望としては、MicrosoftはやはりWindows 7の話題で引っ張り、関連するモノやサービスを売っていくことを目指すしかないのだろう。しかし相変わらず新しいOSがビジネスの中心とせざるをえないのだろうか。
 Googleは検索は現状維持としても、他のサービスでどれだけ売り上げが出るかというところだろう。先行きのなさそうなサービスを最近早めに打ち切りにしているのが目立つだけに、検索広告に次ぐサービスで利益が出せるようになるか。ましてこの時代でである。具体的にいえばYouTubeである。これがいつまでもあまり利益が出ない仕組みのままだと、Googleといえどもジリ貧になりかねない。


 IBMなども不況に拘わらず好調だという。こちらは不況とはいえ、金持ちの固定客をしっかり押さえているということだろうか。やや意外な気もする。ハードにしろソフトにしろ、IBM純正品でそれほど突出したものがあるとは思えない。やはり全方位的にサポートできることが売り上げにつながっているといえるのだろうか。OS/2以後、独自路線はやめてしまったのが、むしろ功を奏しているのかもしれない。IBMのサーバーといっても、WindowsだったりRedhatだったりSolarisだったりさえする。Officeソフトも実質はOpenOffice.orgだったりするといった具合である。


 しかし多少の浮き沈みはあれ、これらの企業のこれから先の決戦の場はやはりクラウドということになってくるだろう。それぞれ得意分野は異なるが、クラウドのサービス自体がまだ文字通り「雲をつかむ」段階であるので、他の企業との競争や連携も含めて、がっぷりと組み合いそうである。また、容易には決着も付かないだろう。それがこの不況脱出の足がかりになるかどうかも、まだ誰にもわからないところだろう。