Siliverlight vs Flash の行方は

 MicrosoftAdobeの発言に噛み付いている。Adobe幹部がSilverlightを軽んじた発言をしたことに対してのことだが、何かMicrosoftFlashに対してやや過剰にイラついているようにも思える。

Adobe幹部の`Silverlightは尻すぼみ`発言、MS幹部が非難(ITmedia)

 もともとSilverlightFlashは画質が違うし、これまでの採用のされ方を見てもSilverlightはオフィシャルのサイトの広告用ビデオなどに使われているようで、画質が良いほど与えるイメージが上がるような場合であろう。それに対してFlashはなんといってもYouTubeはじめ、投稿動画の標準動画フォーマットのようになっている。


 Microsoftとしても、同じ投稿動画サイトの土俵で高画質のSilverlightを競わせてもあまり意味はないだろう。ユーザがYouTubeに望むことは動画によるタイムリーな情報収集なのであろうから、別に高画質で動画を鑑賞できる必要もない。あるいは過去の懐かしい映像を見つけて懐古的気分に浸ることもある。過去の写真と同じで、それが決して高画質であることを期待しているわけでない。むしろ古ぼけたセピア色になっていても、それが時の流れを感じさせたりするくらいである。Silverlightは最新映像をネットで配信するのに利用すればよいと思える。歴史的なオバマ大統領の就任式のリアルタイム映像は、あれほど世界中からアクセスが殺到したにも拘わらず、Silverlightのクリアな映像で見られたことは驚きであった。


 Adobeを非難しているものの、背景にはFlashをこれだけ普及させたYouTubeおよびGoogleを非難したいのが本音のように思える。Flashを普及させたのはAdobe自身ではないからである。しかしMicrosoftが非難すれば、ますますAdobeGoogleと結びつきが強くなるだろうから、Microsoftとしてもジレンマに陥ることになるだろう。


 ソフトウェアがまだ完全にSaaS化していないソフトウェア企業はMicrosoftとAbobeくらいのものになった。Adobeもいずれグラフィックソフトやオーサリングソフトなどもすべて、デスクトップソフトウェアからWebサービスへ移行させることになるだろう。そのときSaaSだけで収益を上げることができるようになるかどうか。そこでGoogleと広告収益の部分で提携する可能性は大いにあると思われる。Yahoo!Googleと提携を試みた事情と同様のことである。GoogleとしてもSaaSAdobeと競合する部分は少ないと思われる。Microsoftがイラつくのも、そういう先のことを見越しているからかもしれない。