消費意欲は過去最低

 年が明けてから2ヶ月、消費動向は冷え切ったままのようである。暮れまでは、さんざん解雇された派遣社員のことばかりが報じられ、年が明けたら大手企業から正社員の大規模な人員削減の話ばかりである。これでは元派遣社員ならずとも、世の中の人はみな「明日は我が身」の危機感から、「世の中の状況を見て買う気がなくなる」「もしものことに備えて徹底的に節約」と考えるのは、少なくとも日本人の傾向としては当然のことであると思える。

「モノを買いたい」気持ちは過去最低、生活防衛意識が高まる--博報堂調べ(CNET Japan)
2009年1月の消費意欲は過去最低に、「必要なものしか買わない」が圧倒的(1.26)

 日米首脳会談では、オバマ大統領から「日本も内需拡大」と要請されたようだが、これまで自動車をはじめ米国への輸出でいくぶん国内の景気が上向いてきたかに思えたところを、米国が金融危機になったらあっというまに、日本も不況の時代か、それ以上に厳しい状況に突き落とされたようだ。かつてのITで景気を回復させるようなムードもどこに行ってしまったのだろうか。


 一時的な景気回復は、外資の投資に支えられた一種のバブルであった。証券で儲かった人だけの勝ち組、負け組が当然のように言われていたのが、実は見せかけだけの景気回復だった。庶民レベルでは決して給料が上がったとか、預金が増えたとかというわけではなかった。そして米国の金融が破綻したら、一斉に外資が日本から引き始めた。よく理解できないが、金融のグローバル化を錦の御旗として外資を頼りにして儲けた、一部の「勝ち組」の人たちはどこへ行ったのか。


 米国発の金融危機だから仕方がない、100年に1度のことだから仕方がない、という諦めムードが市場には漂っているように思える。政府の方針や言動にしてもそうだろう。これまで外資頼みだっただけに、引き揚げられると何をやっていいのかわからない状態といえるのではないか。


 そして今求められるのが内需拡大である。しかしこれだけ消費意欲が冷め切っているときに、たとえ定額給付金をバラ撒いても、景気刺激には焼け石に水というか「氷に線香花火」みたいなものだろう。これからは高価な商品を売り出しても景気回復につながらないだろう。生活に必要なものやサービスを適正な価格で提供できる、新しいビジネスが必要とされるかもしれない。ネットショッピングが伸びているのを見ればわかるように、それも庶民が節約しながら生活に必要なものを入手している表れである。とすれば、新しいビジネスにもネットは必須であり、クラウドを活用することにその可能性があるという気がしている。