新幹線で無線LANサービス

 東海道新幹線(東京〜新大阪間)の車内で無線LANサービスが可能になるという。無線LANが一般的になってから約10年くらいだろうか。やっとかという気がなきにしもあらずだが、設定やセキュリティなどは大丈夫なのだろうか。

新幹線で無線LAN 3月14日から(ITmedia)

 7,8年くらい前に無線LANで接続できるようになったときには、なんだか有線のLANケーブルから開放されたような気分で、意識的にノートPCを移動して回ったものだ。TYPE?のカードを挿してノートPCで受信した。PHSのカードと無線LANが切り替え式のカード(WAN/LAN)なんてものもあった。今はPHSは衰退するし、無線LANも内蔵が当たり前だし、そもそもカードを挿すこともUSBの普及でめっきり少なくなった。


 そうしてすぐわかったことは、電波がジャジャ漏れになっていることである。移転して、あるビルに入って無線LANのテストをしようとしたら、すくに隣のビルの会社の無線をキャッチしてしまい、インターネットに繋がってしまって、むしろ慌てたことがある。隣のビルの会社がまるでプロバイダのようになってしまったわけだが、まるでこちらが不正侵入したかのようで気持ちが悪い。1つのビルで3つも4つもキャッチしてしまうなんてこともあった。Windowsで内部でいい加減なファイル共有などしてしたら、簡単に情報漏えいしかねなかった。まだ何もセキュリティがかけられていない時代だった。


 またファーストフード店などで、ホットスポットサービスがはやりだしたが、セキュリティの問題が知られるようになってからは下火になっていったように思う。今ではファーストフード店やファミレスで試しに「ここは無線LANが使えますか?」と店員に聞いてみても、怪訝な顔をされることの方が多い。そんな事情もあり、新幹線車中での無線LANサービスも、すぐには始めることが難しかったのだろう。ファーストフード店などに比べれば、新幹線の中や駅構内の方がビジネス目的でインターネット接続を必要としているは、はるかに多い。もし新幹線車中で情報漏えいしたら、責任問題はどうなるのかなどということにもなりかねない。公衆無線LANを実現するには、無線LANのセキュリティそのものが進歩するまで待つ必要があったと思われる。


 実際、新幹線車中で使用するには、WPAキーを配布をどうするのだろうか。あらかじめ指定されたプロバイダとの契約してキーの設定をしておかなければならないか、1日限りの捨て(ステーション?)キーを配布してくれるのだろうか。ビジネス客が多い新幹線だからセキュリティも厳格となっていればよいが、どうなるのだろうか。個人的には仕事が変わってからは、東海道よりは東北新幹線に乗ることの方が多くなったので、早めにサービスを拡大してもらいたいものである。


 新幹線の中で無線LANと聞いて、出張する人が目的地に着くまで車内で仕事ができるとすぐに想像できるが、昔似たような話を聞いた気がした。それはもうとっくに亡くなった偉い先生から聞いた話である。それはまだ東海道に新幹線もなく、PCもなかった時代の話で、大阪とか九州で学会があるときには、昔の手回し計算機を鈍行列車に持ち込んで、長い時間の車内で計算を完成させたという。その結果をもとに、翌日現地で学会の発表をしたのだという。時代は変われど、やっていることには実はたいして違いがないのではないかと、ふと思えた。