国内PCサーバ市場はどうなる

 昨年の国内のPCサーバー市場はなんとかプラスだったようだが、それも1年を通算しての話で、後半は急速に減速したようだ。この流れだと2009年は、大きく落ち込むことが予想される。上昇一方のITやネット市場ももさすがに100年に1度と言われる金融危機による不況の影響で曲がり角を迎えつつあるようである。

2008年の国内PCサーバ市場はかろうじてプラス、2009年はかつてない厳しさに(CNET Japan)

 サーバー市場だけで判断するならば、急ブレーキがかかったということは、IT投資抑制の影響からサーバーの新規導入や拡張およびリプレースが見送られたケースが多かったということだろう。マシンの入れ替えよりは、組織の再編、人員整理の方が先に来るというわけだろう。システムの新規契約をするよりは、保守契約の延長をする程度で凌ぐしかないだろう。お金がかかるWindowsでいえば、経済不況以前にVistaを見送ったところは多いし、Windows Serverも慌てて更新する必要もないだろう。


 にわかにIT予算が増えることは期待できそうもないが、その中でも新たな開発やアイデアは出していかなければならない。金をかけずに新しいことをするとなれば、これがクラウドコンピューティングに拍車をかけることになるかもしれない。


 一昨年ごろからは地球温暖化対策ブームではないが、サーバーから排出される熱やCO2を減少させるために省エネ型のサーバーや、サーバー仮想化によってサーバーを統合して台数を減らすことが言われるようになった。環境問題を動機としたいわゆるグリーンITである。ところが1年もたったら、サーバー仮想化はクラウドの前提としての位置づけになり、単にサーバーの台数を減らすだけの話ではなくなったようである。一方でスマートフォンやミニノートPCが流行してきたのは、クラウド化の流れと無関係ではないだろう。クラウドにぶらさがる形のスマートフォンネットブックが、コスト的にも一番「スマート」な形になるであろう。もはやサーバーもクライアントも、高価なPCに高価なソフトウェアを個別にインストールするような時代ではなくなった。


 そこに未曾有の大不況である。コストを最小限に抑えようとする経営体制が、このようなクラウドの形を推進し確立させるように働くことになるように思える。いつの時代も、コンピュータが時代を作るのか、時代がコンピュータを必要とするのか、あるいはスパイラルのように絡み合っているのかと考えさせられるのだが、サーバー市場の動向を見るとき、つくづくそう感じるのである。