ネット利用時間でSNS+ブログがメール上回る

 Web2.0が言われ始めてから、初めてSNSとブログのアクセス時間がメールを上回ったという。これは今後、どういう意味を持ってくることになるのだろうか。

ネット利用時間、SNS+ブログがメール上回る(ITmedia)
ユーザーの55%「SNSへの興味、なくなってきた」(2008.12.08)
もう飽きた? 「SNSへのアクセス減った」が4割(2008.10.10)
日本語のブログ投稿数は世界第1位の37%(CNET Japan 2007.4.6)

 国によってそれぞれ事情が異なるので一概にはいえないだろうが、大きな流れとしてはSNSとブログの利用者が伸びている結果であると見ることができるだろう。メールはWebメールも含めて、Web1.0的な最も古いインターネットのツールであり、SNSやブログはWeb2.0の代表的なツールである。Web2.0の利用時間がWeb1.0の利用時間を上回りつつあると考えてもよいだろう。


 世界的にはFacebookが人気が高く、ユーザ数、利用時間ともに大幅に伸ばしているようである。日本版でもFacebookが進出しているが、その後の伸びはどうなのだろうか。もともとアメリカはMyspaceの人気が高く、日本はmixiであり、ブラジルだけはどういうわけかGoogleOrkutの人気が高いなどのお国柄がある。


 日本ではむしろmixiが頭打ちになりつつあり、SNSにはもう飽きたという風潮も少なくはない。感覚的には、日本人はブログの方が圧倒的に人気がありそうな気がする。何しろ、世界の4割近くのブログは日本語で書かれたものだといわれるからである。


 mixiは若い世代中心だったが、ブログはその後広い世代に広がっているように見受けられる。mixiは招待制をやめて18歳以下の世代も取り込もうとしているが、Facebookがむしろ中高年世代のユーザを増やしていることと逆向きになっているようにも見える。


 外国の人のSNSによるコミュニケーションを好むのと日本人のブログ好きには、根本的な国民性の違いがあるようにも思える。SNSでは、ネットでしか知り合えないような関係を外国の人は積極的に求めてくる。これはリアルのパーティでも同様である。ところが日本人のSNSは、初めからリアルでの友人とネットでもコミュニケーションを取りたがる。部外者にはむしろ排他的でさえある。日本人はごく限られた仲間内でのウェットなコミュニケーションを好む。リアルでもパーティよりは仲間内だけで飲みに行くことを好む。逆にそれが疲れやすい関係にもなり、飽きる結果にもなる。これは若者のケータイ好きも同様であろうと思われる。


 一方でブログは半ば自己完結型であるから、誰が読もうが読むまいが独り言のように、日本人は「徒然なるままに」ブログを書き続けることが好きな人が多い。むしろ年配になるほど、この傾向は強まるのかもしれない。まあ、自分も人のことは言えないのだが。


 いずれにしろ、海外(SNS+ブログ)、日本(ブログ+SNS)なのかもしれないが、そのトータルがメールを上回るというのはネットの大きな流れだということは間違いがないところだろう。自分はスパムに対する脆弱性でどうしようもなくなっているメールは衰退し、SNSが進化する形のものがコミュニケーションツールとして取って代わるという持論なので、そういう傾向が高まってきたと見ている。


 最近トラブルが顕在化しているGmailなどは、GoogleWeb2.0サービスの玄関になるWeb1.5のような位置づけのように思えるが、Gmail自身がこまめに機能拡張を繰り返しSNS的に変わってきているように見受けられる。しかし人気面では、GoogleSNS(Orkut)もブログ(Blogger)もあまり成功しているとはいえず、Twitterなども含めてメールの代替になりうるサービスは、まだまだ競争と進化は続いていくものと思われる。