WBC日本2連覇達成

 日本中が沸いた。昼頃は携帯のアンテナを立てながらワンセグで見ている人も多かった。画面を見なくてもWBCだろうと想像ができた。WBC関連のネットの書き込みも溢れかえっているだろう。不況の中、数少ない明るい話題である。下手な定額給付金よりは経済刺激効果もあるだろう。スポンサーになったセブン&アイ(イトーヨーカ堂)やヘルメットに広告を入れた日本マクドナルドは勝ち組だろうか。

侍ジャパン連覇!宿敵・韓国やぶり世界一! (SANSPO.COM)
原監督「イチローのセンター前は生涯忘れない」 (SANSPO.COM)
Ichiro lifts Japan to Classic glory (MLB.com)

Ichiro's go-ahead two-run single
http://mlb.mlb.com/media/video.jsp?mid=200903243987933


 決勝前の優勝トロフィー返還のセレモニーで、前回監督の王相談役が登場した。原監督と握手し、足が不自由だという韓国の監督のいるベンチまで出向き、握手とハグをしに行った時に日本の勝利を確信した。解説の清原が「王さんの人間の大きさ」を感じるという言葉通り、選手もそれを見ていたからである。何かダメ押しの力を与えるような気がした。


 試合の内容はいろいろなところで論じられているだろうが、ほとんど「なんも言えねえ」状態である。安定感からいっても、岩隈こそ日本のエースだったダルビッシュが9回に同点にされたときは見ちゃいられなくなったが、結果的にはそれがなければイチローの神の一打も生まれなかったわけだ。そういう場面が回ってきて、劇的な結果を出せるというのは、そういう星の下に生まれているとしかいいようがない。


 WBC期間を通じて、原監督の謙虚な言葉が目立った。勝って奢らず、常に実直で前向きの発言が良かった。当初は決して望まれた監督だったわけでなく、星野監督を拒否する世論と讀賣がらみで、消去法的に決まったようなものだった。それまでの長嶋ジャパン王ジャパン、星野ジャパンのような、監督の名前が目立つような形をやめて、サムライジャパンとして原ジャパンにしないのはよかった。原監督は、チームとしての団結と選手の能力を最大限に引き出せるような環境作りに徹したように思える。監督だけでなく、選手との直接のパイプを持つコーチ陣を多く引き入れたことも、チームのまとまりを作るのによかったと思える。


 一方で選手の起用は、左右の打者や調子の上がっている選手を出すということに徹していたと思える。メジャーリーガーは多少不振でも我慢して起用を続けたが、決して情や名前だけではなさそうである。巨人、阪神の選手は結果としてあまり目立たなかった。最後の準決勝、決勝ではメジャーリーガーの底力が出たように思える。イチロー、松坂はもちろん、城島と岩村はポイントでしぶい働きをした。岩村もワールドシリーズでの経験がプレッシャーの中での活躍として現れたのだろう。準備不足だった米国相手とはいえ、堂々と対抗できたのは日本人メジャーリーガー5人を揃えたチームという自信の表れでもあったのだろう。そのおかげで若手も本来の能力を発揮できるムードができたのだろう。


 ついつい気になっていたWBCも終わり、なんとなく気抜けしそうではあるが、気がついたらもう新年度に向けて気合を入れ直さければならない時期になってしまっている。