国内PC需要の落ち込み

 不況の影響で、この2月のPC需要の落ち込みもかなり大きいようである。米国に始まった金融危機からの不況は、金融機関や自動車産業に留まらず、多くの分野に波及し、IT業界も例外ではなくなっている。端的に表しているのがPCの売れ行きや、サーバー市場の動向であろう。2月のPC需要は昨年比で2割も減だという。

2月の国内PC需要がさらに悪化、出荷台数が前年比の21.3%減少に--JEITAまとめ(CNET Japan)

 国内では2月は新年度に向けて、新規導入やリプレースなどの法人需要が伸びそうな時期であるにも拘わらず、この冷え込み方である。ITの経費のコスト削減をTCO(Total Cost of Ownership)などと言っていたのが今は昔の感さえある。導入や維持管理費を合理化して減らすどころか、そもそもPCは買わない、人員も整理するような話のレベルだからである。つい1年前のWindows Vistaを導入すべきか否かの議論が滑稽にさえ思えてくる。PCそのものが売れないのでは、Vistaも完全にアウトになったといえる。もはやWindows 7が出荷する頃には多少景気が上向いていることを期待するしかないだろう。


 PCが売れないとはいっても、デスクトップ型の方が落ちて、ノート型の方は善戦しているのではないかと思いきや、台数(22.4%減)、金額ベース(36.5%減)と、ともにノート型PCの方が落ち込みが大きいではないか。企業ユースでも、かつてのデスクトップ型から次第にノートPCに移行していたイメージがあったが、それだけにPCを買わないとなるとノートPCの売り上げ減少に繋がるのだろう。デスクトップ型に比べて、割高のこともあるからだろう。


 ところで唯一例外的にネットブックがあったはずだが、売り上げの数字に貢献していない。これも企業ユースでは、まだネットブックが普及していないということを意味しているのだろうか。従来型のノートPCとネットブックの市場が食い合うことはないか、いろいろと憶測はあるが、実際にネットブックが企業ユースで当たり前のものになれば、従来型のノートPCはもっと売れなくなる可能性もある。今は買い控えになっていて従来型ノートPCも売れないが、仮にいくらか景気が戻ってきたときにまた従来型ノートPCに戻るかといえば、あまりそうならないような気がする。徹底したコスト削減のためにも、そのときにはネットブックが企業ユースの主役になるかもしれない。