Vistaを飛ばしてWindows 7の可能性

 Vistaの企業導入が進まず、見送る決定をしたところが多いのは、新年度4月になっての状況を見てみれば明らかであろう。米国では2008年末の時点でVistaを導入していた企業はわずか10%程度であったという。すでに問題は、Vistaを飛ばしてWindows 7を導入する時期がいつになるかということに移っている。

企業の80%がVistaを飛ばしてWindows 7へ―ただし、時間を置いて(ITmedia)

 昨秋からの金融危機の影響で、どの組織でも設備にかける費用が削減され、Vista導入の可能性にはトドメが刺された形であった。もともとVista登場時から不評であり、導入コストの割には、業務を効率化するどころか、むしろ混乱させかねないと判断されたのだろう。


 そしてこの未曾有の経済不況にあっては、システムの変更どころか、業務の内容そのものから変革しなければ組織が生き延びられない状況になっている。その意味では、現在はWindowsそのものが問題なのではなく、クラウドSaaSネットブックスマートフォンの方がよほど可能性のある話題になりつつある。


 クラウドSaaSにはWindowsは不要だが、ネットブックWindowsがネックになってくる。組織ベースでネットブックが有効だと判断されれば、一気に導入が進むと思えるが、そのときのWindowsのバージョンが何なのかというになる。仮に今すぐ導入しようとすれば、現実的にそれはVistaでなくXPになる。ところがXPは、デスクトップや従来型ノートPCにおいては、すでにリース期限を過ぎつつあるわけだから、今さらネットブックに新たに導入することには問題が残る。そうなると、Windows 7が出荷されてネットブックWindows 7が発売されて、さらに一定期間その評価を見極めてからということになるだろう。


 従来型のマシンを新規導入、あるいはリプレースして、今さらVistaを導入しようなどとは自分が管理者でもやらない。組織の中で、今から提案するとすればネットブックではできることが少ない」という批判もあろうが、ネットブックによるシンクライアント的利用である。本当に多くの機能を必要とする人や部署では、別立てでそれなりのマシンを導入し、ほとんど隔離ネットワークでよい。一般業務ならばネットブックと使い分けてもらう。そして何より、コストが大幅削減できることである。クライアントにかける費用で浮いた分を、もっとセキュリティ対策の費用にでも当てることができる。


 そしてクラウドを前提とするような中小の企業ならば、ネットブックで十分受けられるWebサービスや、今後のスマートフォンでもスムースにアクセスできるようなサービスを追及していくべきであろう。もっといえば、シンクライントとしてはWindowsは向いていないし不要にすらできるのだが、まだ多くのユーザは特定の目的がなくWindowsを望んでいる人は多いから、Window 7に対応しなければならない。だからWindows 7待ちということの最大の可能性は、Windows 7が導入されたネットブックなのである。