ネットブック向けOfficeの発表

 Microsoftネットブック向けOfficeを出すという。価格を安くする代わりに、使用期限を2年間に限定するという。価格はともかくとして、果たして歓迎されることなのかどうか。

Netbook向けOffice発表 2年限定ライセンス(ITmedia)
MS、Office 2007のネットブック向け「2年間ライセンス版」を発表(CNET Japan)

 現状ではVistaではパフォーマンス的に使えないネットブックであるから、XPで動いているのが実情である。ではOfficeはどうかといえば、かなり動作は遅いらしい。XP+Office2007では、なおさらであろう。そもそもわざわざネットブックでOfficeを使うという発想自体が筋が悪いといえるのだろう。


 ある組織で、今年度からコスト的にもネットブックの導入を検討したが、Officeが遅すぎることから実用的でないと判断しネットブックをあきらめ、結局従来型ノートを最小価格を提示した業者からの導入を決めたという話を聞いた。結局、ネットブックの導入の阻害しているのはOfficeになっている形である。パフォーマンスはどうしようもない。


 もちろんネットブックが5万円くらいだと、Officeのライセンス料がコストに占める割合は馬鹿にならなくなる。それを少しでも薄めるための苦し紛れの対策が2年間ライセンスなのだろう。しかし2年後どうなるかは、あまりはっきりしない。ネットブックなど、せいぜい2年間くらいの寿命だろうという考えなのだろうか。その後は通常ライセンスを買いなおすか、Officeのアップグレード版を買い直すとのことであるが、同じバージョンのライセンスを買い直すのは明らかに無駄であろう。では次期バージョンのアップグレード版は通常版になるのか、また新たなネットブック版を出すのだろうか。おそらく、同じネットブックにさらなる投資はしないだろう。だからアップグレードもしないだろう。しかしネットブックは故障でもしない限り、使い続けたいと思うだろう。そのときOfficeは使用不能の状態である。


 何やらセキュリティ対策ソフトの購入形態と同じである。古くなったノートPCのソフトの期限が切れた。しかし、そのノートPCのために新たなセキュリティ対策ソフトは購入したくない。そこでそれは打ち切り、フリーのセキュリティ対策ソフトに切り替えている。新旧マシンの台数が増えると、そういうことになる。もっともセキュリティ対策ソフトの場合には、3年間の期限で3台までインストールできる形態などで販売もされてはいる。Officeの場合には、2年後はOpenOffice.orgか、オンラインOfficeだけの利用に切り替えることになるのだろうか。


 またネットブック向けOfficeは、いわゆるPersonal版であまり役に立たない。なぜPowerPointを入れないのだろうかネットブックの携帯性からビジネスでプレゼンに使われることを想定しないのだろうか。必要ならやっぱりビジネスでは通常版を買えということになる。そうなると、やはりネットブックでのプレゼンにはWebページか、オンラインOfficeを使うという方が自然な発想になるのだろう。いずれにしても、OfficeでもWindowsそのものでも、Microsoftネットブックの足を引っ張っているとしか思えないのである。