Time WarnerがYouTubeに専用チャンネル

 雑誌「TIME」やCNNおよびAOLなどを抱えるタイム・ワーナーYouTubeに専用チャンネルを立ち上げ、動画配信で提携することになったという。WhitehouseなどYouTube専用チャンネルは多くなったが、本格的にネットとメディア企業との結びつきが生まれてくることになるのだろうか。

Time Warner、YouTubeに動画を配信--専用チャンネルも立ち上げへ(CNET Japan)
タイムワーナー、ユーチューブに動画配信 CNNニュースなど(NIKKEI NET)

 Time Warnerといえば、MicrosoftYahoo!買収を仕掛けた際に、それを阻止するためにYahoo!とAOLの提携なども目論んだことがある。形は変えたが、MicrosoftYahoo!と提携することになり、AOLは落ち込んでいる状況で、旧メディア企業としては何らかの新しいアクションを起こす必要があったといえるだろう。一方で、新聞メディアが中心であるNews Corpなどは、新聞電子版の有料化を示唆するに至って物議を醸している。ネット時代にそぐわないという印象が大きいからであろう。


 こうした中で、Time WarnerがCNNニュースなどのテレビ番組をネット配信するようになることの意義は大きいだろう。もちろんすでに動画自体はこれまでもcnn.comサイトには独自に提供されていた。しかし、YouTubeおよびGoogleサイトから配信されるようになることに意味を持つことになるだろう。1つはネット広告を得意とするGoogleによって、両者にとって広告収入が見込めることになることになる。Google検索と違って、YouTube動画にとって広告が難しかったのは、一般ユーザによる投稿動画が主だったために、広告出資企業にとってその動画がイメージにそぐわないことがありうることが問題だった。内容や著作権に問題のある動画に自動的に広告が付加された場合に、あたかも広告を出した企業がそれを支援しているようなイメージを持たれてしまう恐れがあったからである。


 ユーザ投稿動画をアマチュアとすれば、メディア企業の提供するニュースはいわば「プロ」の提供する質の高いコンテンツになり、アクセス頻度の高さも期待できるから広告も集めやすいことになる。そうして新たな広告獲得によるYouTubeとCNNのWin-Winの関係を期待することになりそうである。


 ネットとメディアの関係といったとき、特に日本ではそうなのかもしれないが、マスコミ側がネットを敵対視してきたという経緯がある。しかし、マスコミは取材力があって1次情報源足りうるが、ネットは誰かがニュースソースを提供してから話が進むという面がある。CNNなどは世界中に有能な特派員を有している。一方でマスコミは単方向のメディアであることが当然であり、ネットは初めから双方向性が当然だった。これらが結びつくことは、ある意味で相互を補完しうる関係だったといえる。しかし問題はそれまでの「文化」が異なる、あるいは「利権」からみだったといってもよいだろう。Googleのように突出したネット企業によって、初めてマスコミとの対等な関係も可能になったといえるかもしれない。


 CNNニュースは現在、NHK BSなどで一部は見ることはできるが、ネットでじっくり「聴く」ことができる方が、英語の勉強にも役に立つことだろう。Googleにとっては大きなコンテンツの獲得ともいえるが、GoogleとCNNの関係のみならず、ネットとメディアの今後の方向に大きな影響を与えるきっかけになるかもしれない。