知っているようで知らないIT用語

 IT用語はカタカナ用語が多く、また英語のスペルと照らしてみると、英語の方が解りやすかったり、逆に知らない英単語だと余計わからなくなったりする。英単語を知らずにカタカナだけを聞いたことがあるというのが、一番解っていなさそうな用語である。

知っているようで実は知らないIT用語、“調べない派”が7割以上(INTERNET Watch)

 IT用語をわざわざ調べるかどうかは、その人が少なからずITに関連した仕事をやっているかどうかだろう。世間的にはある程度知られた言葉で、自分は全く知らない言葉だったりすると、仕事上の会話でも恥ずかしい思いをすることにもなりかねないから、用心して最低限は「耳学問」をしておく必要はあるだろう。逆にITに関しては素人、という立場を貫いた方が賢明ならば、むしろ中途半端な「知ったかぶり」は控えて、相手がどれだけ知識と経験があるかとじっと見定めた方がよいかもしれない。これはかつて、自分がネットワークの業者と打ち合わせたりするような場合にとった立場である。相手がどれだけ「プロ」としての深みを持っているかを観察するわけである。


 さて、問題は「知っている」というのが、どういうレベルであるかである。ITの世界は理論だけの世界ではないから、一応言葉を聞いたことがあるレベルから簡単な説明をすることができるレベルまででは、知っているというレベルとは言えないだろう、という気持ちは常に持っている。やはり実地、実践の経験があってこそだと思える。ネットワークの理論だけ学んだとしても、実際のネットが繋がるようになるまでには、相当な距離がある。1つ1つの実践が応用編のようなものだ。同じようにプログラミングでも、文法と例題のプログラムくらいを動かすことができるだけでは、プログラミングがわかっているとはいえない。自力で自分の意図したプログラムを動かせるようになって、初めてある程度「知っている」といえるだろう。ただそれまではやはりある程度の時間はかかる。そう考えると、現在のITはサイクルが早いこともあるが、自分には知らないことだらけといっても過言ではない。そうはいっても、乏しい知識を供給し繋ぎながら、なんとか溺れずにITの海の中を泳いでいるようなものである。


 現在では「調べる」といっても、ネットで調べるものが非常に多いので、「とりあえず調べる」のは非常に楽である。表面的な用語の意味や由来などは、Wikipediaやその他の講座的なWebサイトをいくつか見て回れば大概はこと足りる。しかし、それが知識が広く浅くだけに留まってしまう危険性にも繋がる。Webでざっと見て「わかったような気になる」のと、書籍でじっくりと調べながら考えることの違いでもある。Webでとりあえず表面的に調べて、後から時間を取って書籍でじっくりと調べる、勉強するというのが理想的かもしれないが、ITの場合、せっかく買っておいた書籍がソフトウェアやシステムのバージョンアップによって、じっくり読む前に古くなってしまうということがあるのが、また悩ましいところでもある。


 ところで、世間一般的には知っているようで知らないIT用語としては、現在は「クラウドコンピューティング」があり、2年前ならクラウドという言葉を使おうとすると、その前に簡単な用語説明をしなければならなかった。こちらも当時はあまり明確なイメージがあったたわけではないから、しどろもどろの説明をしたものだ。さらに4年前なら同様に「Web 2.0」がそうだった。6年前くらいなら「ブログ」がそれに当たっただろうか。そしてかつては「IT」という用語そのものがそうだった。「IT化をするためにワープロを覚える」という偉い人もいた。人前では口には出さなかったが、内心では「それはOA化という言葉で十分なのでは」と思ったりもした。仕事柄、新しい用語を振り回そうとするときは、くれぐれも誤った概念としてとらえていないことに細心の注意を払わなければならない。ITに関しては、そういう場面が多くなるのは宿命的でもある。