FSFがアンチWindows 7キャンペーン

 Windows 7の発売時期まであと1ヶ月半くらいになっているが、ここにきてFSF(Free Software Foudation)がアンチWindows 7キャンペーンのサイトを立ち上げた。同時に有名企業のCEOにメールの送付や企業のIT決定権を持つ幹部にメールを送ることを推奨するとしている。効果のほどはともかく、FSFは昔からフリーソフトウェアの運動に関しては徹底している。MS-DOSの時代には有料の表計算ソフトLotus1-2-3に抗議して、Lotus社へのデモを敢行したほどである。今はターゲットをMicrosoftAppleAdobeとしているようである。

FSF、アンチWindows 7キャンペーンをスタート(ITmedia)
Windows 7 Sins: The case against Microsoft and proprietary software
Free Software Foudation

 FSFの創設者リチャード・ストールマンは思想的に好きな一人だが、今のオープンソースソフトウェアは必ずしもストールマンが主張してような「過激な」フリーソフトウェアの形にはなっていない。しかし、世の中が現在のようなオープンソースの時代となった背景には、早くから「ソフトウェアは自由である」という思想を愚直なまでに唱え続けてきたFSFの存在を無視はできないだろう。


 かつては有料ソフトに反対するにしても、人類の文化のために無償で公開しろとしか主張できなかったが、現在では代替となるオープンソースソフトウェアが存在していることが大きな違いである。代替となるソフトウェアを自ら開発して、どんどんフリーで公開してしまうというのがGNUプロジェクトだったわけである。これがGPLのきっかけである。そして究極はフリーのOSを公開して普及させることであり、それがGNU Hurdだったはずである。しかしどういうわけか、GNU Hurdの開発は遅れ、未だに正規版にはなっていないという。開発途中にどんどん時代が変わっていき、開発者も代わっていったためとも推察する。インターネット時代になって急速に普及したLinuxがその立場をあっというまに席巻して奪い取ったといってもいいだろう。しかしFSFの活動にとっては、必ずしもGNU Hurdがその立場にならなくてもよいはずである。ストールマンLinuxの間の関係は微妙かもしれないが、それでもMicrosoftをはじめとするプロプライエタリなソフトウェアに反対して、その代替として推奨する意味としては十分であろう。


 Windowsユーザが現状でも圧倒的とはいえ、LinuxおよびオープンソフトウェアやWebサービスでの代替は着々と現実的なレベルにまできていると思われる。GoogleもWebベースのOSとしてChrome OSの開発を発表したが、これとてベースはLinuxである。あえてWebに持ち込むことによって、デスクトップベースのプロプライエタリソフトウェアの呪縛から逃れることができる。これもインターネット時代の新たな選択肢として加わったことになる。すぐにWindowsをやめさせるように運動をせずとも、大きな流れとしてはWindowsが不要でも構わない状況は生まれるようになるだろう。それはネットの上の方ではクラウドであり、末端ではネットブックスマートフォンの世界である。その間にWindowsがあるわけだが、次第に上下からその部分は狭まってくるように思えるのである。そのときにFSFが思い描いてきたようなソフトウェアの姿となっているかどうかは、まだ不明ではあるが。