東芝ディスク1枚で160GバイトのコンパクトHDD

HDDで標準的に搭載100GBを超えるPCはごく普通になったが、ディスク1枚くらいの大きさと厚さしかないようなHDDも登場してくる。これによってノートPCのみならず、HDDを装備する携帯、ビデオカメラ、その他のモバイル機器にも影響を与えそうである。

東芝、ディスク1枚で160Gバイトの1.8インチHDD(ITmedia 9.10)
ソニー、FDD生産から撤退 ディスクは継続(ITmedia 9.10)

 PCを初めて買った20年以上前から、HDDにはCPUやメモリ以上に関心がある。CPUやメモリは、価格的にどう頑張ってもその時代ごとにスペックを上げるには自ずと限界がある。しかしHDDは、どれだけの大容量を確保しておくべきかは内蔵、外付けを組み合わせても、ある程度選択に幅があるからである。もちろん使用する目的によるのだが、いつもなるべく大容量のものを入手していた。容量が余って使いきれなかったということは、これまでほとんど記憶にない。NECPC-9801時代に、初めて1GBを超える外付けHDDを購入したときは、ショップの店員にあきれられたことも覚えている。今は1TBを超えても安心はできないくらいである。
 USB接続が普及してきて、USBメモリに続き、コンパクトHDDが出現したのも有難かった。複数のノートPCに接続しなおして大容量の保存データを読み出せるからである。今ここでもノートPCに160GBのコンパクトHDDを接続しながら使っている。


 ところが、さらに内蔵のHDDがコンパクトになる。かつてのHDDドライブの「箱」のイメージからメディアである「ディスク」のイメージに近くなる。一時期使ったMOくらいの大きさだろうか。それにしても640MBしかなかったわけだから、最大120GBのHDDからすれば容量は1/100以下しかない。また静音化が進み、音楽プレーヤーなどではシーク時の騒音が気にならないという。やはりネットとともに、今はHDDとストレージの時代ともいえるかもしれない。


 さてディスクといえば、元祖のFDDの方はさすがに寿命が尽きようとしている。SONYFDDドライブからの撤退を発表している。古いPCが使い続けられているだろうから、メディアのFDはまだ生産を続けるようだが、最近では使う場面は本当に限定されている。ただ古い人は未だにFDでデータを手渡ししてくる人はいるので、対応しなければならない。いわく、データをメール添付すると情報漏えいの心配があるからオフラインで直接FDを手渡しするのだという。相手のスタイルなので、それに従わざるをえないのだが、とっさの場合や場所によっては、FDDが接続してあるPCを見つけることが困難だったりする。勢い自宅に持ち帰らなければデータを読み出すことができなかったりする。で、自宅では、昔使ったVAIOのUSB外付けのFDDがあったりする(純正品でそれなりに高かったと記憶する)。そのSONYFDDがもう生産中止になるようである。


 当然といえば当然だが、むしろ元祖のFDDは他のドライブに比べて長命だったといえるだろう。延命できたのは、容量ではなく緊急時の「起動ドライブ」としての役割があったためだろう。ノートPCなどにおいては余計にその傾向が強かった。Linuxをインストールするにも最初に必ずFDが必要だったし、CDではそもそも「焼く」という作業が必要だったから起動CDを作成するのはそう容易ではなかった。ところが今では、ネットブックを含めUSBメモリから起動できるBIOSを持つノートPCが普通になったので、かつてのFDの役割も完全にUSBメモリに置き代わったといえる(WindowsUSBメモリ・ブートには対応していないが)。あとはテープと同様に、データさえ移行して本当に使う人が居なくなり、習慣として手渡しでデータを送るようなケースがなくなるだけだろう。「オフラインのメディアなら安全」という意識も変えてもらわなけばならない。同時にコンパクトな大容量のHDDのデータをどうやって守り、バックアップをどうするかの対策も確立していかなければならないだろう。