Chrome OS 搭載PCは7秒足らずで起動

 Google Chrome OS のデモが初公開されたが、それでもまだ正式登場は2010年11月で1年も先になる。それまでにまたネットの世界では新しい動きも出てきそうな気もするが、今のうちからユーザの期待感を高めておきたいこともあるのだろう。そのChrome OSが搭載されれば、PCはなんと7秒足らずで起動するようになるという。ゲーム機か何かを連想してしまいそうだ。

「Chrome OS搭載PCは7秒足らずで起動」とGoogle(ITmedia)
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 PCが起動するときは、BIOSが起動してからOSをHDDからブートにいって、しばし黒い画面が続いて一瞬壊れたかと不安もよぎってから、おもむろにWindowsが起動してホッとする、などという日常の習慣から解放されることになるだろうか。ネットブック限定とはいえ、これまでのPCの起動からして、大きな変化を与えるかもしれない。PCで咄嗟に何か作業しようとしたとき、億劫に感じるのはPCの起動するのが遅いということがある。PCのスペックは上がってきていても、OSであるWindowsの動作も重くなっているので、PCの性能が上がったことを実感できないのが常であった。ブラウザしかりで、相手のサーバーが遅いのは仕方がないにしてもブラウザの動作にキレがないとイライラすることもある。


 Chrome OSはWebに特化するようにOSとWebを一体化するというだけでなく、PC操作のスピードアップにも貢献しそうだ。デバイスドライバなどはともかく、アプリケーションが不要になるわけだから、Windowsのように使い込んでいるうちにだんだん動作が遅くなっていくということもないだろう。同じPCではるかに高速化が実現されるようならば、多少型落ちのPCでも蘇生できそうである。


 Chrome OSが当面、ネットブックにターゲットを絞っていることも、Googleの戦略としてはよいかもしれない。今のところネットブックはそれほどWindowsとのしがらみもない。というよりXPでしか実質使えなかったわけだから、Vistaとは無関係、Windows 7ネットブックのシェアをどれだけ伸ばせるかというところである。Chrome OS登場まで1年あるから、そのうちに飛躍的に伸びる可能性もなきにしもあらずだが(Windows 7 Starter次第か)、それだけに先行してChrome OSの宣伝をしているのかもしれない。またネットブックは、まだビジネス分野には浸透しているとはいえない。価格は魅力的なものの、従来型ノートPCの単純な代替にはならないということに気がついてきているからだろう。いくらWindows 7が良いと宣伝しても、その上で肝心な業務用アプリがまともに使えなければ、ネットブックはビジネス分野では浸透しない。


 そこでクラウドである。ネットブッククラウドと接続してこそ意味を持つ。特にビジネス分野ではそうなるだろう。そのときクラウドで進んでいるのがGoogleである。GmailGoogle Appsに日常業務を転換できれば、Chrome OSでネットブックを快適に使いこなすことに意味が出てくる。そうなるとネットブックを導入するかどうかは、業務をクラウドにスムーズに移行できるかどうかにかかってくる。そのための期間は1年でも足りないかもしれないが、ジャンルによっては方向性は出てくるだろう。そうはさせじと、Microsoftは2010年1月1日からクラウドWindows Azureのサービスを開始する。Windows 7Windows Azureの組み合わせに、従来からのデスクトップユーザ・Officeユーザを将来的に移行させていきたいところだろう。ここ1年くらいが、クラウドをめぐってGoogleMicrosoftの綱引きが佳境を迎えることにかもしれない。その象徴たる存在が、実はChrome OSであるという可能性が高い。